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2010年 存亡を賭けた生コンクリート業界(15)~経営合理化の可能性を探る~
清明がほえる
2010年1月28日 13:15

 では、具体的に生コンクリートの集中配送によって、どう効果が上がったのか?
 生コン業界の大改革に日夜取り組み、協業化を推進している生コン維新有限責任事業組合の江川浩司氏の協力を得て、集中配送の効果を聞いてみた。

 「福岡のある地区で、運送会社が各工場の生コン受注を1カ所で受けているということでした。1カ所で生コン注文を受けることによって、運送会社はミキサー車を効率良くコントロールするわけです。当然、工場側は身軽になったわけですし、運送会社も独自で利益を出していかなければなりません。配車の仕方が会社の利益を大きく左右します。極端な話、朝一の台数でその日の利益が決まるといっても過言ではありません。配車担当者は、サッカーで言えば司令塔であり、重要なポジションです。できるだけチャーターをせずに、『より少ない台数で、より現場に近い工場から、より多くの生コンを運ぶ』が基本となります。
 福岡某地区の事例で、庸車費を比較すると
 [A社:550万円 B社:250万円 C社:300万円]
 3社4工場で、月平均約1,100万円がかかっていました。これを集中配送にすると、約650万円の庸車費にすることができたのです。それでも、約650万円の庸車費は次の課題として残ります。一般的には、各工場でチャーターしていることでしょう。午後から車が遊んでいて、『もっとフル稼動できればなぁ』とムダを感じたことはありますよね。1日1台3~4万円もかかりますし、なかには弁当まで支給するところもあるようですが。窓口を1つにして管理していれば、朝一はA工場、午後からはB工場、C工場と効率よくフル稼働させることも可能です」と語る。
 さらにシステム化を進めれば、上記の月間650万円の庸車コストも圧縮できることは言うまでもない。

ただし、「目先だけの集中配送を構築して、その場凌ぎの場当たり的な策では本当の経営合理化における効果は望めません。最終的には『工場を集約化するのだ』という各社各工場で最初に意志統一して、ではどのように集約化すれば良いのか、という手順でそのなかの一つのオプションとして集中配送という手段を取るべきです」と江川氏は語る。

(つづく)

【河原 清明】

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