漁業権や漁への影響を盾に、港湾関連の公共事業にクレームをつけるケースが全国的に問題視されている。
特に博多湾内において工事を円滑に進めるためには、漁協とどう向き合っていくかが重要なのだという。
08年10月、国土交通省九州地方整備局が発注した「博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)」は、市漁協側の「博多湾漁業権管理委員会」によって1年近く工事を止められている。繰り返し報じてきたように、工事中止の理由は浚渫工事によってタコやアナゴの稚魚が死ぬというものだった。しかし、工事中止から再開までの経緯を記した公式文書は、A4サイズ1枚のペーパーだけだ(画像参照)。
この記録からは、開札日に落札業者が決まり、漁協側にその業者名が伝えられてから漁協側が工事中止に動いたことが明らである。つまり、意中の企業が受注できなかったことから起きた騒ぎなのだ。港湾関係者からは、「『博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)』を止めたのは、落札業者への報復だった。この工事を受注するつもりだった市内のマリコンが落札に失敗し、漁協を使って妨害行為に出た」との情報が寄せられている。事実だとすれば事件である。
博多湾内の浚渫工事は、平成16年度から続く継続事業。水深が浅い博多湾は、常に浚渫を行わなければ船舶の航行が困難になるとされる。漁協側はこの浚渫工事が原因で「浮泥」が発生し、漁業に影響をもたらしたとしているが、九州地方整備局、市漁協ともに漁獲高と浚渫工事の因果関係を示すデータは存在していないことを認めている。
さらに漁協側のクレームはすべて「口頭」によるもので、正式に文書で抗議や工事中止を申し入れたものでもない。この程度のことで4億円を超える国の直轄事業が止められ、さらなる税金投入が行われたのである。
ことほどさように漁協の力は大きい。横暴と言っても過言ではないが、その漁協の力を使って港湾関連の公共事業をコントロールしているとすれば言語道断。事業のあり方も含め、何らかの対策が必要ではないだろうか。
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