広告代は下がる。しかも、取れないままでは事業としては成り立たない――企業としての蓄えや支援企業があるならまだしも、大抵の企業は人件費削減に着手せざるをえなくなる。福岡市内のとあるフリーペーパーでは、広告営業を行なっていた正社員を全員解雇し、そのなかの数名に広告代理店業務を任せて固定費の削減に成功した。現在、スタッフは社長と経理社員などを除き、アルバイトの編集部員が情報誌を作成している。正社員から代理店業務となったAさんは、「自由に動けるのはありがたい。頑張れば頑張った分だけ身入りが多くなるから」と決して悲観的ではない。
これはフリーペーパー業界の新たな組織モデルになるかもしれない。だが、給料の安いアルバイト編集部員で、広告出稿に値するようなクオリティの高い誌面が作れるかという部分には疑問が残る。先立つものがなければ、その情報誌に対する思い、愛着、そしてモチベーションは上がらないのではなかろうか。そうなれば、広告記事の文章や誌面デザインなど、クオリティのさらなる低下にもつながる。
フリーペーパー業界が激変時代を生き抜くためには、まだまだ数多くの課題を抱えている。
【朝倉】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら