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特別取材

2010年 住宅業界を考える(3)~伝統工法について(2)
特別取材
2010年1月29日 08:50
 伝統工法の定義付けは、限定的ではない。あえて述べるとすれば“限界耐力計算など難易度の高い構造計算が必要で、在来軸組み工法の家とは全く違う工法”ということになるだろうか。

 2009年8月に与党となった民主党。そのマニフェストにおける「国土交通」のコンテンツ内で『木造住宅と国産材の振興で地域に息づく家づくり』と題された文章中に、伝統工法を推進する内容がある。

“伝統工法を継承する技術者、健全な地場の建設・建築産業を育成するとともに、施工者の技能が客観的に分かる仕組みを作り、消費者が安心して注文できるようにします”

(「民主党政策集INDEX2009」より)

 “地球と人に優しい家づくり”というテーマのもと、それに則したものの一部が伝統工法である。現実に、古い民家は100年程度十分に耐用し、化学製品をほとんど使用しないため「健康的な住宅」になる。日本の風土に適した、木材の特徴を最大限に生かすことができる工法であることは間違いない。

 だが、課題・問題点も当然ある。隙間風による断熱性能の悪さと、造る大工に技術が必要な点、さらに07年6月に建築基準法が改定され、一層確認申請が困難になった点である。「木造の建具や床下や天井裏に隙間が多くなる作り方なので、断熱性能が悪くなる。比較的夏の暑さに適応した作りとなるので、冬の隙間風による寒さにはやや不利だろう」とある建築関係者は語る。
 また、「最近の、在来工法の住居しか作ったことがない大工では、伝統工法の住居を造ることはとても困難だ。おそらく無理だろう。伝統工法の技術を持った大工の存在自体が減少している。また伝統工法は、一般的な構造設計法で評価しにくい部分が存在し、また仕様規定にそぐわない部分も多く含むため、確認申請を通すことも難しい。伝統工法の特色である、貫や足固めの強さが過小に評価されて、構造計算に対する計算のチェックにもお金と時間がかかってしまうのでコスト高になってしまう。日本古来の技能でその伝承が守られてきた、世界に誇れる建築技術である。数値では計り知れない奥深さがあるのだが…」とも語る。理想と現実は、かけ離れてしまっている。

(つづく)

【河原 清明】

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