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企業、人 再生シリーズ

黒木透・再生への道(6)
企業、人 再生シリーズ
2010年1月29日 08:00

<現場から営業へ>

 現場監督の仕事は、自分の技術を高めるための手段だった。たった1坪の寮の部屋を出るために、黒木はがむしゃらに働いた。月給は10万円。職人時代の1/3だ。とにかく実績を積まなくては次のステップに進めない。仕事をこなし続けた。気がつくと2年が経っていた。

 ちょうどこのころ、不況の波が日本全土を襲った。右肩上がりだった景気が水平線を描き始める。建築ラッシュは終焉を迎えていた。黒木が勤めていた工務店も、不況のあおりをもろに受けていた。
「とにかく仕事がありませんでした。出勤してもすることがなくて、現場側の人間は毎日、机でへのへのもへじを書いているような状態でした」
 黒木は一計を案じて、営業への転属を申し出る。現場がないなら自分がつくる。営業をやらせてくれ。社長はこれを了承し、黒木は営業部に転属することになる。

 黒木の属していた工務店は、年間の売り上げで1億5,000万円程度だった。黒木は新規開拓を積極的に行なった。次々と提案書を持ってまわる。このとき、宮崎でのアパート建築の経験が生きた。資産家をまわり、資産活用のためのアパート・マンション建築を提案してまわったのだ。医者、弁護士、企業経営者などをくまなく回った。顧客の理解が得られることはまれではあったが、それでも確実に売り上げにつながっていったという。
「10人に営業したら、8人は理解していただけませんでした。けれども、2人はちゃんと理解を示してくれましたし、契約にも至りました。私は、8人に無理に理解してもらうのではなく、2人を大切にすることが営業するうえで大切なことだと思いました」

 いつしか顧客は100人を数えるほどになった。工務店の売り上げは10億円にまで伸びていた。現場をこなすことができる限度を迎えたが、黒木は積極的に営業を続ける。自社工務店でできない分の仕事は、他社に紹介し始めた。資産活用としての不動産・建築コンサルタントとして、ひそかに副業も始めていた。
 このころの工務店の給与が年収で380万。役職は次長だった。一方の不動産コンサルタントで得る副業収入は年間3,000万円を超えていた。もはや副業とは呼べない段階にまで達していた。

(つづく)

【柳 茂嘉】


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