香椎幼稚園を運営するのは『学校法人 筑紫海学園(以下、筑紫海学園)』である。その理事会のメンバーは、『公立大学法人福岡女子大学(以下、福岡女子大)』の同窓会『筑紫海会』から選出されている。さらには、同窓会の会長が筑紫海学園の理事長を兼任するのが通例となっており、現在の理事及び監事も全て福岡女子大の同窓生で構成されている。
つまり筑紫海学園理事会は、福岡女子大同窓生と香椎幼稚園運営者という二つの性格を持っているのだ。今回、同理事会は、福岡女子大改革のために幼稚園の土地を返還し、さらには閉園することを決めた。幼稚園運営者よりも同窓生の立場を優先させたことになる。
一方、同窓生の中から香椎幼稚園側を擁護する声も上がる。「今回の決定は、たまたま現在、理事になっている一部の同窓生の独断だ」。筑紫海学園理事を兼任する同窓会の役員は、2年で交代(留任は3期まで)することになっているからだ。
また、香椎幼稚園に対する現在の筑紫海学園理事会の姿勢は、母体である筑紫海会の理念から離れているという見方もできる。筑紫海会の会則には、香椎幼稚園設立の経緯について次のように記されている。
「1955年(昭和30年)4月、県立女専・女子大学の卒業生として地域社会への感謝・還元の気持ちから、卒業生が費用を拠出して福岡女子大学構内に「香椎幼稚園」を開設した。当時、幼児教育の重要性が言われ始めていたが、香椎地域に幼稚園がなかったためである」(原文のまま)。
繰り返しになるが、香椎幼稚園の閉園は地域社会の幼児教育に影響を与える大きな問題である。筑紫海学園理事会は、地域社会への感謝・還元を全うしたと判断したのだろうか?
(つづく)
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら