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小沢一郎VS検察最終決戦 問われるべきは「小沢革命政権」の正体(下)
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2010年1月20日 08:00

■「小沢政権」が描く日本の将来図 徹底検証すべし

 民主党に投票しなかった有権者でも、政権交代したことへの期待感はあったはずだ。その一つが国家戦略室(局)の創設である。国内外の諸情勢を見渡し、緊急性、重要性から打つべき政策の優先順位を決め、内閣あげて取り組んでいく。国を動かす戦略本部、参謀本部として当然あってしかるべきものが、自民党政権ではなく民主党政権で実現することにそれなりの期待感を抱かせた。しかし、こちらも有名無実。内閣を支える大黒柱どころか、伝えられていたのは権限なし、スタッフなしにグチる所管の管直人副総理の声。これも勘ぐれば、小沢氏の想定内ではないか。
 与党幹事長として「政策には口を出さない」と、当初は表立つことを避けてきた小沢氏だが、キャリアに関係なく1年生議員全員に早朝研修を課す一方、陳情に関しては、議員はもとより閣僚からも取り上げて幹事長室に一本化。小沢氏への権力集中を着々と進めてきた。
 そんな小沢氏の本心がムキ出しになり始めたのが大訪中団だ。議員140人強にスタッフ合わせた参加者600人にはあ然。「何を考えているのか。私たちにもわかりません」と不参加の民主党議員も首を捻っていたが、議員1人ずつに胡錦涛主席と握手させるという愚劣さには一国民として恥ずかしい限り。まるで朝貢時代を想起させたが、続いて来日した習近平副主席への返礼に、天皇の政治利用が問題になったのは周知の通り。「重要な国」という位置付け自体が政治利用であることの自覚もない。
 ダメ押しは、12月に入っても予算編成にモタつく内閣に「国民の声を」と一喝。内閣と党の表裏が一体になったところで、「小鳩政権」なるものの実態は「小沢独裁政権」であることに国民大多数が気付いたはずだ。すなわち本当の国家戦略室は幹事長室にあることをあからさまに示したが、そんな小沢氏が仕切る日本はどうなるのか。
 選挙前から鳩山氏が唱えるキーワードは「友愛」、「東アジア共同体」、「日米中正三角形」だが、「友愛」はともかく、後者2つについては「小鳩」両氏の足並みが揃っているかに見える。ただし、いずれも曖昧で具体的なイメージが湧かないのは、本音部分をボカしているからではないか。となれば、参政権問題のように本音を隠して事を進める、国民には信用ならない政権となる。
 たとえば「日米中正三角形」論は、日米同盟による現在の二等辺三角形を正す長期目標というのであれば結構なこと。しかし、それには米国離れで失われる軍事、防衛力をどうするかという問題解決のプロセスも提示されなければならない。現状のまま中国ににじり寄るのであれば、「これまで米国に従属し過ぎ」という認識もいずれ「中国」に変わるだけである。
 大訪中団で北京入りした小沢氏は、そのまま一足先にソウル入りして韓国大統領に参政権付与実現を約したとされるが、それ以外に両国とは何が語られたのか。拉致問題と国交正常化など北朝鮮が重要テーマだったといわれるが、いまのところ「小沢革命政権」の東アジア共同体構想は渤海と黄海、せいぜい東シナ海までしか視野にないのではないか。
 中国、南北朝鮮との関係緊密化はよしとして、参政権法案は在日コリアンのみならず中国人が多数を占める永住外国人すべてを対象にし、外国人子弟も子ども手当の対象になるとすれば、金銭問題とは別に「小沢政権」が描く日本の将来図は徹底的に検証されなければならない。小沢氏の右腕ともいえる日教組出身の興石東参院会長が仕切る教育問題はじめ、地方自治など地味な分野で「革命的事態」が進行する可能性があるからだ。

(了)

恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。


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