日の沈むことはないといわれ、繁栄を誇ったイギリス。「大英帝国の凋落」と言われながらも、世界に対する存在感はいまだに衰えていない。
これと同じで、かつてはシェア30%を超えて、住宅業界に君臨していた積水ハウスの底力は、いまだに衰えていないはずである。
積水ハウスは、必ず復活すると思っている。早く現状の問題点に気が付き、修正されたなら必ず、住宅業界の雄として、蘇ると期待している。
最近、新聞に『積水ハウスが8年ぶりに、特損で赤字決算』という記事が踊っていた。
前回の特損による前向きの赤字と違い、今回は様子が違う。前回は本業が絶好調で、余力あるうちに不良資産の評価損を一気に出して、身を軽くして新たなスタートを切ろうという、「経営として前向きの赤字」としてとらえられた。市場の評価も好感を持って迎えられた。
しかし、今回は本業の決算予定ははじめから大幅減益予定。やっとの黒字決算の予定であった。さらに当初の発表より、減額修正をせざるを得なかった。そんななかでの特損処理。追い込まれたうえでの赤字決算ではなかろうか。
今年、積水ハウスは創業50年を迎えている。『今期の業績予想を大幅アップする』、『記念配当する』と発表して、株価の暴落を防いだ。
平成21年の住宅着工が発表された。前年より27.9%ダウンの78万8,410戸。80万戸を切ってしまったのは、1964(昭和39)年以来のことだという。
景気の先行きは不透明、労働者の賃金はこの10年間下がっている、などの理由で、住宅投資意欲は冷え切っている。
今年も、今の政府の体たらくを見ていると、景気の回復は見込めず、このような情勢が続くと思った方が正しいのではないか。
大幅アップの経営計画の根拠に、疑問を持つ。
【野口 孫子】
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