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特別取材

建築工事業を廃業し 駐車場経営にシフト (株)鮫島組
特別取材
2010年2月 4日 14:50

地場では売上高10億円を超える業容を有し、長い業績とともに知名度をもっていた(株)鮫島組が、建築業の廃業を行なった。厳しさを増す市況と後継者問題などで、建築業の看板を下ろしたと言われる。だが最近、博多区や中央区などでコイン駐車場事業を手掛け、不動産業に力を入れている様子がうかがえる。現状を交え検証してみる。

<堅実経営で事業基盤を形成>
看板などが一切なくなった鮫島組社屋
 (株)鮫島組は、創業者の鮫島展一氏が土木建築工事業を目的に1957年4月に創業、60年12月に設立された地場業者。業歴は長く、過去には売上高10億円を超える事業規模を有していた時期もあり、相応の経営基盤を保っていたことである程度の知名度は有していた。
 しかし、次第に厳しさを増していく市場環境の変化のなかにあって、建築工事業を運営していくことの難しさや、現代表が高齢であること、また、早急に次の後継者にバトンタッチできなかったという事情から、同社は08年に建築業の廃業を行なっている。現在は、不動産事業のみを行なっていると聞かれる。
 登記上は、08年8月20日に公告方法や株券の発行の廃止、次期代表候補とされていた常務の辞任、それに伴う株式の譲渡は取締役会の承認から株主総会の承認を受けなければならない、と変更されている。過去に取引を行なっていた金融機関によると、「廃業後、当行との付き合いはありません。従業員もいらっしゃらないようですし、代表のみが不動産業を行なっていると聞いています」とコメント。社屋にも看板などは一切なく、今の同社にはかつての建築工事業者としての面影は残っていない。

<矢継ぎ早に 駐車場建設を手掛ける>

 だが近年、同社の不動産業者としての動きが活発化している。09年8月27日に、博多区博多駅前3丁目の土地を㈱ダックス・コミュニティサービスから約6億5,000万円で購入。ここにはもともとオフィスビルが建っていたのだが、これを更地にして現在コインパーキングを建設している。このエリアは、周囲にもコインパーキングが多数あるため激戦区と思われるのだが、同社が購入した土地は写真でもわかるように角地となっており、利便性という点でアドバンテージが図れるものと思われる。(写真参照)


コインパーキング工事1コインパーキング工事2コインパーキング工事3

 また、博多区の土地購入の3日前となる8月24日には中央区大名1丁目の土地も購入しており、こちらにもコインパーキングを建設している。この土地は都築俊英学園があった場所で、ここには博多区の方とは異なる立体駐車業方式のコインパーキングを採用している。この地区は天神西通りに近いために人の往来は多いうえ、休みになるとさらに賑やかさを増す。それに伴って車で訪れる人が多くなることも考えられ、十分に収益は見込めるものと思われる。現在この土地では建物が撤去され、急ピッチで工事が進んでいる模様。(写真参照)

都築俊英学園跡地1都築俊英学園跡地2

 同社が今回購入したコインパーキング用地は、博多区の方も中央区の方もともに立地条件が良く、安定収入が見込める場所である。
 依然続く不況のなか、建設業においてはとくに厳しさが増しているのは周知の事実だ。それを見込んだうえで、財務が安定しているうちに同社は建築工事業を撤退した。なおかつ、無担保で土地を購入して、箱物に手を出さずに現金収入が見込めるコインパーキング経営に業態をシフトした。この切り替えの早さは見事と言えよう。

【道山 憲一】


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