「一昔前と何も変わっていない。対策がない。福岡地区の生コン業界は一度リセットしたほうが良いのではないか」と語るのは、県内で生コン製造を行なう工場の代表。
「ちまちま工場を集約している時間などない。出荷量が半減しているのだから、当然工場数も早々に半分にしなければ。また、組合価格など関係なしに、自社の好きな価格で販売してとことん競合したら良い」と冷静に語る。
組合側は、影響力を持つアウトサイダーに対して、継続的に組合加入を促す活動を行なっている。しかし―
「加入しても、経営的に何らメリットがないと感じているから入らないだろうね。アウトサイダーに対して有力な策を講じていないんじゃないのか?今後、出荷量は絶対に増加することはないと断言できる。よって、さらにパイは縮小される。そのうえでのアウトサイダーとの競合。組合は、“30プロジェクト”という品質をスローガンにした草の根プロジェクトを行なってはいるが、ほとんど効果は期待できないだろう。ゼネコンなど施工者生コンを使用する側は、近隣工場の生コンの品質の方が良いことは分かっている。だが現実は、わざわざ一山越えたところから運ばれる生コンを発注している。やはり価格だよ。粗悪な品質は論外だが、ある程度の許容のなかで使用可能であれば、当然少しでも安価な生コンを使うよ。30分以内で到着する工場からの納入を勧めているものの、福岡市内では依然としてアウトサイダーのミキサー車が堂々と疾走しているようだ。彼らは、手を緩めることなく今後も市場に戦いを挑んでくるであろう」と前出の生コン製造工場の代表。
一方で地元のアナリストは「アウトサイダーの経営者は、マメにゼネコンや工務店など納入先に営業活動を行なっている。全般的に見て、協同組合に入っている生コン工場は、合法的な保護下のもと、経営努力も工夫もせずぬるま湯体質に浸かっている。生コンだけ保護されているのは違和感がある」と語る。
「もう組合価格でなく、各社自らの価格を設定して自由に営業し、販売すれば良い。そのなかで生き残ったところでやっていけば良い。これを実施すれば、ギブアップする前に誰にも迷惑を掛けず“廃業”という選択をする経営者が必ず出現する。これが一番早いスリム化になる」と前出の生コン製造代表。
さらに業界改革の策を述べていく。
【河原 清明】
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