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不況を生き抜く躍進企業

【不況を生き抜く躍進企業】(1) ~上村建設(株)(上)
不況を生き抜く躍進企業
2010年2月 5日 15:11

上村建設(株) 代表取締役社長 上村 秀敏 氏
発想の転換と力の集結で200億堅守
上村建設(株) 代表取締役社長 上村 秀敏 氏 

 福岡地区を代表するゼネコンの上村建設。昨年、設立50周年の節目を迎えた同社の2009年10月期の売上高は220億円を割ったものの、増益を果たした。官製不況や金融不況など、著しい市況悪化で業界全体が苦戦を強いられるなか、安定した強さを見せている同社の2010年の見通しなどを、上村秀敏社長にうかがった。

(聞き手:弊社代表 児玉 直)


◇「仕事を発掘する」という発想の転換が必要

 ―まずは、2010年を迎えての新たな抱負などお聞かせいただければ。

 上村 とかくこういう時代ですから、人員削減をしなくていいように、ということがまずは第一です。それから全員で力を結束して、小さな仕事や数千万円規模の少し大きな仕事をしっかりと請けていこう、と考えています。そのなかで、大きな案件を受注できれば、それがまたいいかたちにつながっていくでしょう。
 大きな仕事ばかりに期待していると、小さな仕事に思考が向かなくなります。あまり営業、営業というのも嫌なのですが、しかし一方で、現実はそういう思考がなければ社員も下請けさんも、自分たちの居場所がなくなってしまいます。
 ですから、弊社に関わる方々全員が、情報を摘み取っていかないといけません。これは今の世のなか、銀行さんであれ、いわゆる価格破壊的な商売であれ、どの世界でも同じことが言えるでしょう。

 ―業者さんまで含めて、一体となって情報を集めるために協力していかなければ、ということですね。

 上村 そういうことです。それで何とか売上200億円をキープできるように頑張ろう、ということに尽きます。そのためには、汗を流して、こまめに行動して、情報をどんどん集め、今のいろいろな状況を再度見直す必要があります。
 そして大切なのは、これまで私たちを支えてくださったお客さまの深掘りです。今までのお客さまこそが、我々の最も大事な財産です。ここを見逃してはいけないと思っています。今まで弊社が持っているお客さまが、どのような動きをなさっておられるのか、そこが他社に比べて明確に識別できるところであり、弊社が情報としてわかっているところですから。

 ―そのお客さまを、どういう気持ちにさせて、投資させるかですよね。
 
 上村 もちろん、新規のお客さまを開拓しなければならないことは重々承知しています。今までであれば、JAの組合員さんや銀行さんなどからの紹介営業による成功体験もあります。もちろんそれはそれでいいのですが、しかしこういう時代ですから、最終的にはやはり自分たちで仕事を発掘する意欲、自分たちで作り出す意欲というのが必要だと感じます。『自分たちで仕事を作り出す』という発想の転換をしなければ、この会社はこれから先伸びていきません。

◇受注にも危機管理意識を

 ―たとえば最近のセキスイハウスなどを見ていますと、結局営業マンが顧客情報を持っていないものですから、業者さんのところに行くのが仕事になっているんです。「何かないでしょうか」と。

 上村 そういうふうになり過ぎても困りますね。弊社でもいろいろなキャンペーンのようなものを打っていまして、たとえば昨年であれば50周年キャンペーンをやってみたり、数年に1度は業者さんを対象としたキャンペーンを打ったりしています。なかには、業者さんが中心となってキャンペーンを打っていただけるケースもあるわけです。弊社としてもありがたいのは、業者さんももちろんそうですし、オーナーさん筋から預かった社員などもおりますので、そうなると必然的に「建設は上村」、となるわけですよね。
 しかし、そういう考え方に依存していると、それが危険を呼ぶわけです。何でも手のなかにあると考えてしまって、ボーっとしていたらいつの間にか他社さんがやっていた…などということも過去にはありました。
 もちろん、その逆のケースもあります。たとえば他社ゼネコンさんに勤めていらっしゃる社員さんのご実家がJAさんとお付き合いがあって、その社員さんが弊社で建てる、などということもありました。挙げれば数限りありませんが、いつも顔を合わせている社長さんのところの社員さんが弊社でお建てになるわけですから、正直、辛いものがあります。しかしそれはもう、私たちが強引にご飯を食べている茶碗を叩き落したわけでなく、お客さまとして弊社を選んでくださったわけですからね。これは競争の原理です。

 ―それはもう、向こうが選んでくださったんですからね。

 上村 情において忍びないところではありますが、しかしそれがビジネスです。ですから、ボーっとしていれば逆のケースもまたありえるということです。そういうケースを敏感にキャッチして、兆候が現れればすぐ対応するように危機管理の意識を持っていなければいけません。そういうことが常時あるのだと思っておかないと、「うちは大丈夫」と考えていては大間違いだよ、ということをいつも話しています。

(つづく)

【文・構成:烏丸 哲人】

COMPANY INFORMATION
上村建設(株)
代表者:代表取締役社長 上村 秀敏
所在地:福岡市博多区住吉4-3-2
設 立:1959年2月
資本金:1億2,015万円
事業内容:総合建設業
年 商:(09/10)216億7,502万円


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