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特別取材

2010年 住宅業界を考える(8)~長期優良住宅先導的モデル事業(3)
特別取材
2010年2月 6日 09:20

 「良いモノを造ってキチンと手入れし、長く大切に使う」という理念のもと、長期優良住宅先導的モデル事業は、ストック社会における住宅のあり方について広く国民に提示し、技術の進展に資するモデルを国家が公募、推進している。ハード・ソフトの両面で優れた住居に対して補助されるもので、厳選されたモデル・提案がその恩恵を受けることとなる。よって、安価なコストではまかなうことができず、住み手側にも相応の投資が必要となってくる。

 「大量生産による住居供給の時代はもう過去のもの。今後はより長く耐久し、良質な住空間を提供するのがハウスビルダーとしての使命」と断言する造り手も数多く存在する。同モデルの柱として、ハード面もさることながら、重きを置かれるポイントとして

(1)性能面:耐久性、耐震性、維持管理の容易さ、可変性(間取りの変更が容易、など)
(2)維持保全:維持保全計画を立てて計画的な点検・修繕を行なうこと

以上2点が同事業モデルのポイントとなる。住まいの造り手側も、綿密な計画→設計→施工が必要になると同時に、住む側も住宅履歴書を作成して定期的に住まいの状況を記録していくことが必須である。
 双方とも手間と時間を要し、また、メンテナンスのコストが定期的にかかる。同時に、長く良質な住まいを維持できて、快適な住空間を自分から子供、そして孫の代まで使えるのである。

 また、さまざまな選択肢もある。良質な住居を持ち、大切に使い維持することで、

(1)資産の価値を高めることができる
(2)自身の生活に応じた空間を生み出せる
(3)資産価値を向上させることで、賃貸にできる

など、住み手にとって多くの恩恵が生まれる。同時に、請負ったハウスビルダーにとっても、永続的な顧客を持つことができ、さらに住居メンテナンスやフィナンシャル面でのアドバイスや実務を担うことで、より親密な顧客との関係を構築できる。それが企業の信頼と信用を高め、企業価値も向上する。

 現代社会にはさまざまな価値観が存在し、住まいに関しても例外ではない。だが、良いモノを長く大切に使い維持することは、「モノを大切にする」という、昨今、我々が忘れかけている本質を見直させてくれる事業であることは確かである。

(つづく)

【河原 清明】


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