福岡県町村会をめぐり、元副知事・中島孝之容疑者と県町村会会長で添田町長の山本文男容疑者が、それぞれ収賄、贈賄の疑いで福岡県警に逮捕された。背景には県庁幹部の公金への意識の低さが指摘されている。
平成20年8月20日、県町村会は中島容疑者らを北海道旅行でもてなしたとされる。右の文書は県に情報公開請求して入手した「市町村支援課長」の同月の出勤簿である。20日は県庁に立ち寄ることなく出張に出かけていることがわかる。翌21日と22日は欠勤となっているが、北海道に行っていたのであるから当然だろう。土日を入れて5連休。ずいぶん優雅な役人生活である。
市町村支援課長に出された問題の20日の「出張命令書」が左の文書である。訪問先は永田町にある『全国町村会会館』。『福岡県町村会中央研修会』への参加を目的とした出張だった。出張期間は「0泊1日」、即ち日帰り出張となっている。真っ直ぐ自宅に帰る「直帰」がマークされているが、課長が向かったのは福岡ではなく北海道だったわけだ。旅行命令は「直帰」を前提に往復の航空券代支出を認めており、北海道で遊んでから帰ることは命令違反だろう。命令書には北海道からの帰りの航空券代など算定されておらず、「東京‐福岡間」の帰りの航空券代は課長の懐に納まったことになる。東京から北海道、北海道から福岡までの旅費は県町村会側が負担したものと見られるからだ。課長の行為は、詐欺、横領の類に等しい。
そもそも、福岡県町村会の研修会を東京で行うことからして無理がある。こうした出張命令が何の躊躇もなく出されてしまうことも問題だ。しかも命令書自体には決済印さえ無い。杜撰な公費出張のあり方は、改めて議論されなければなるまい。
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