県町村会による裏金接待疑惑が贈収賄事件に発展した福岡県。2日には前副知事が収賄、町村会長が贈賄の疑いでそれぞれ福岡県警に逮捕され、県政界に衝撃を与えている。背景には公職にある者の公費に対する意識の低さが存在する。
先週、県議会議長の航空機による公費出張で、特別席(旧スーパーシート。JALグループは「Jクラス」、ANAグループは「プレミアムクラス」)使用が常態化していることを報じたが、その後の取材で特別席使用を認める明文化された規定がないことが判明した。
県議らの出張旅費は「福岡県議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例」に規定されており、第5条の3には《議長、副議長及び議員が公務のため旅行したときは、その費用弁償として、旅行日数に応じて日額一万九千二百円の定額による旅費のほか、特別職給与等条例別表第三の一に規定する鉄道賃、船賃及び航空賃を支給する》とある。
この「特別職給与等条例別表第三の一」を確認したところ、「一 鉄道賃、船賃、航空賃及び車賃」として、《鉄道賃、船賃、航空賃及び車賃は、福岡県職員等の旅費に関する条例(昭和三十二年福岡県条例第五十七号。以下「旅費条例」という。)の適用を受ける職員の例による。ただし、航空賃については、旅費条例第十四条第二項の規定は適用せず別に定めるところによるものとし、旅費条例付則第七項の規定は、県外(旅費条例第二条第七号に規定する県外をいう。以下同じ。)の旅行をした場合には、適用しない》とある。ここまでたどっても、明確な規定が出てこない。
理解するのが困難なため、議会事務局に説明を求めた。
担当職員によれば、ここから「旅費条例第十四条第二項」に移り《航空賃の額は、旅客運賃及び特別座席料金による。2 特別座席料金の支給要件その他航空賃の支給方法は、規則で定める》となり、さらに「福岡県職員等の旅費に関する条例施行規則」《第十一条 条例第十四条第一項に規定する特別座席料金は、特別座席料金を徴する航空機による旅行で知事が特に必要と認めたものに限り、支給する》となるのだという。しかし、これは知事部局に対する規定で議会側のものではない。結局、議会側は知事部局に倣っているだけでスーパーシート利用の根拠は明文化されていないということになった。
つまり、議長らがスーパーシートを利用する根拠は、慣例に拠っているということになる。
交通費の領収書も添付されていないものが多く、公費出張の正当性を裏付けることが困難な実態が浮かび上がった。行政へのチェック機能である議会側がこの体たらくなのだ。
町村会事件は起こるべくして起こったということかもしれない。
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