スポーツ界のスーパースター、タイガー・ウッズのスキャンダルが世界の耳目を集めている。果たしてリカバリーショットはあるのだろうか。世界初の「ビリオン・ダラー・プレイヤー」と呼ばれるほど、タイガー・ウッズは賞金王として獲得額の歴史を塗り替えてきた。しかし、彼が手にしてきた収入はナイキやペプシ、AT&T、そしてアメックスやアクセンチュアなど大企業のコマーシャル出演料の方が遥かに高額であった。
2008年、ウッズのゴルフによる賞金獲得額は770万ドルだったが、企業からのコマーシャル出演料の総額は1億2,000万ドルに達した。ゴルフの実力よりイメージのパワーで15倍以上の収入を得ていたわけだ。多くの企業が彼の持つストイックな雰囲気と家庭や家族を大事にするという理想のイメージに多額の宣伝効果を期待した結果だった。
ところが、今回の女性スキャンダルで明らかになったように、天才的ゴルファーではあったが、異常なまでの「不倫症」によってスポンサー企業が次々と契約破棄という結論を下さざるを得なくなった。本人は自らが運転するSUVを消火栓にぶつけた後、病院に担ぎ込まれたものの軽傷であったために、自宅に帰り安静にしていると説明していた。しかし、次々と愛人や浮気相手の存在が明らかとなり、薬物疑惑も浮上してきたため、スウェーデンの元スーパーモデル、エリン夫人との離婚は避けられないとの観測がもっぱらである。
にも関わらず、自ら事情をきちんと説明しようとしないため、多くのファンにとっては実に気がかりであり、かつ失望感をもたらしているようだ。ロサンゼルスタイムズ紙によると、64%のアメリカ人は「タイガー・ウッズへの尊敬の念を失った」と回答している。彼が公の場に姿を見せることができない理由としては、エリン夫人による怒りの鉄槌が彼の顔面に相当なダメージを残しているためと考えられる。実態が闇の中に隠されていることもあり、アメリカはじめ世界中のマスコミが想像力をたくましくし、このスーパーヒーローの不倫騒動を面白おかしく報道している。
【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
国際未来科学研究所代表。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。
ベストセラー『ヘッジファンド』(文春新書)、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)をはじめ著書多数。最新刊は『ノーベル平和賞の虚構』(宝島社)。近刊には『オバマの仮面を剥ぐ』(光文社)、『食糧争奪戦争』(学研新書)、『石油の支配者』(文春新書)、『ウォーター・マネー:水資源大国・日本の逆襲』(光文社)、『国力会議:保守の底力が日本を一流にする』(祥伝社)、『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社)、『団塊世代のアンチエイジング:平均寿命150歳時代の到来』(光文社)など。
なお、『大恐慌以後の世界』(光文社)、『通貨バトルロワイアル』(集英社)、『未来ビジネスを読む』(光文社)は韓国、中国でもベストセラーとなった。『ウォーター・マネー:石油から水へ世界覇権戦争』(光文社)は台湾、中国でも注目を集めた。
テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「サンデー・スクランブル」「スーパーJチャンネル」「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)「とくダネ!」(フジテレビ)「ミヤネ屋」(日本テレビ)など。また、ニッポン放送「テリー伊藤の乗ってけラジオ」、文化放送「竹村健一の世相」や「ラジオパンチ」にも頻繁に登場。山陰放送では毎週、月曜朝9時15分から「浜田和幸の世界情報探検隊」を放送中。
その他、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、エネルギー問題研究会・研究委員、日本バイオベンチャー推進協会理事兼監査役、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、国際情勢研究会座長等を務める。
また、未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにコンサルタントとして関与している。
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