経済不況のなかで、今回のタイガー・ウッズの騒動はマスコミ界にとっては願ってもない「天からのプレゼント」と言えよう。たとえば、香港に拠点を持つ中国語の放送局「ネクスト・メディア」ではタイガー・ウッズ本人が姿を見せないことをもっけの幸いとばかり、ウッズ夫妻の家庭内暴力の現場再現映像をアニメーションとCGで作成し、ネット配信や新聞雑誌での報道を通じてエスカレートさせている。
同社では160人のソフトウェアの開発エンジニアを雇い、取材で得た情報に想像力という味付けを加え、視聴者や読者が興味をそそられるテーマについて一般の報道機関ではできないアプローチで新規の顧客や読者を急速に獲得している。ご関心の向きは、http://tinyurl.com/YL9H6X6をご覧頂きたい。浮気がばれて、エリン夫人に追いかけられるタイガー・ウッズの必死の形相が再現されている。
また、アメリカのゲーム会社はここぞとばかり、「妻に追われるタイガー・ウッズ」(Tiger Woods Wife Outrun)と称するゲームをオンライン配信し始めた。これは、エリン夫人に追いかけられるタイガー・ウッズになったプレーヤーが、SUVを巧みに運転しながら無事に逃げおおせることができるかどうかを競うゲームである。また、いかに夫人の目を盗んで数多くの不倫相手のところに出没するかという知恵を競う内容となっている。事件発生以来、ひと月以内に150万人もの人々がこのゲームに参加するほどの人気だ。
さらにイギリスのブックメーカーは、タイガー・ウッズとエリン夫人との間で離婚が成立した場合の慰謝料の金額を巡る賭けを大々的に始めた。「5億ドル以上の慰謝料が支払われる」に賭け、その通りになれば賭け金は25倍に膨らむ。「他人の不幸は蜜の味」と言われるように、タイガー・ウッズの身から出た錆とはいえ、超セレブの不倫騒動に千載一遇のビジネスチャンスを見出そうとする人々は後を絶たない。
【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
国際未来科学研究所代表。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。
ベストセラー『ヘッジファンド』(文春新書)、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)をはじめ著書多数。最新刊は『ノーベル平和賞の虚構』(宝島社)。近刊には『オバマの仮面を剥ぐ』(光文社)、『食糧争奪戦争』(学研新書)、『石油の支配者』(文春新書)、『ウォーター・マネー:水資源大国・日本の逆襲』(光文社)、『国力会議:保守の底力が日本を一流にする』(祥伝社)、『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社)、『団塊世代のアンチエイジング:平均寿命150歳時代の到来』(光文社)など。
なお、『大恐慌以後の世界』(光文社)、『通貨バトルロワイアル』(集英社)、『未来ビジネスを読む』(光文社)は韓国、中国でもベストセラーとなった。『ウォーター・マネー:石油から水へ世界覇権戦争』(光文社)は台湾、中国でも注目を集めた。
テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「サンデー・スクランブル」「スーパーJチャンネル」「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)「とくダネ!」(フジテレビ)「ミヤネ屋」(日本テレビ)など。また、ニッポン放送「テリー伊藤の乗ってけラジオ」、文化放送「竹村健一の世相」や「ラジオパンチ」にも頻繁に登場。山陰放送では毎週、月曜朝9時15分から「浜田和幸の世界情報探検隊」を放送中。
その他、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、エネルギー問題研究会・研究委員、日本バイオベンチャー推進協会理事兼監査役、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、国際情勢研究会座長等を務める。
また、未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにコンサルタントとして関与している。
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