1960年から国土交通省が定期的に実施し、直近では2008年12月に行なわれた『住生活総合調査』。住宅および住環境に対する評価、住宅改善の意向など、住生活全般に関する実態や居住者の意向・満足度などを総合的に調査し、住宅政策を推進する上で必要となる基礎資料を得ることを目的に実施されている。その速報集計が発表されているのでおさらいしたい。なお、確報の発表は2010年5月の予定である。
速報集計の概要は、
<1>住宅・住環境に対する総合評価
「満足」が18.6%。前回調査(03年住宅需要実態調査、以下同)よりも8.9 ポイント増加している。一方、「非常に不満」、「多少不満」を合わせた不満率が28.8%となっており、これは前回調査と比較して0.3 ポイントの増加。「まあ満足」が52.1%で、前回より6.4ポイント減少した。
<2>住宅に対する評価
「満足」が18.9%となり、前回調査よりも6.0 ポイント増加。同時に「非常に不満」、「多少不満」を合わせた不満率が32.0%となり、前回調査と比較して10.4ポイントの減少。「まあ満足」が48.5%で、前回調査と比較して5.5ポイント増加した。
<3>住環境に対する評価
住環境に対する評価を見ると、「満足」が16.8%で前回調査よりも2.1 ポイント増加。一方、「非常に不満」、「多少不満」を合わせた不満率が32.3%となり、前回調査と比較して0.7 ポイントの増加。「まあ満足」は前回調査より1.7ポイント減少の50.3%。
<4>住宅・住環境の中で最も重要と思うもの
「火災・地震・水害などに対する安全」が14.7%、「治安、犯罪発生の防止」が13.2%、「地震・台風時の住宅の安全性」が11.7%となり、安全性に関するものが上位3項目を占めた。続いて「日常の買い物、医療・福祉施設・文化施設などの利便」(8.3%)、「住宅の広さや間取り」(7.1%)があがった。
総じて、住宅・住環境において70%以上のユーザーが「満足」であると回答している。要因としては、ハウスメーカー、ビルダーなど建築関係者の技術革新や品質向上がある。また同時に、ユーザーの住宅に関する意識の高さ――自主的に勉強して見識を高めることで、施工者やデベロッパー・不動産業関係者に全てを丸投げすることなく、ユーザー自身のこだわりを細部にまで持って、住まい造りおよび住まい選びへ積極的に参加していることが読み取れる。
住宅。住環境の重要なポイントとして、天災・災害や治安など、安全におけるジャンルが利便性を上回っているのは、現代社会を象徴的に色濃く反映していると言えよう。
【河原 清明】
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