的確な顧客分析に基づいた「Z・FSP」もうすぐ始動
全日本食品(株) 代表取締役社長 齋藤 充弘 氏
ボランタリーチェーンの草分け的な存在として、全国で事業展開を行なっている全日本食品(株)(本社:東京都足立区)。“全日食チェーン”として、九州地区においては1979年に設立以来、30周年を迎えることとなった。現在約200の加盟店を有する九州地区は、同社においても関東地区に次ぐ有力地域となっている。なお、新・商品施策が消費者の支持を受け、既存店売上高は19カ月連続で増収となった。節目の年に同社の齋藤充弘社長に、これからの中小スーパーの在り方について語っていただいた。
◇国民経済に寄与するボランタリーチェーン
―全日食チェーン九州が立ち上がり、今年で30周年を迎えられました。改めて、どういうことを大切にしていきたいと思われていますか。
齋藤 九州では全日食が誕生した18年目の1979年に、福岡県久留米市に九州第一号の地区本部を開設しました。現在、関東地区に次ぐ有力地域にまで成長したのは、お客さまをはじめ、加盟店の方々および協力会社の方々の尽力によるものだと思います。
そして、新しい時代に入り、中小スーパーならびに食品小売業者の方々にとっては、これからは大手が中心になる時代に生き残っていくだけでなく、日本にはこういうお店がある、小さくてもお客さまのニーズに合った商品を取り扱っている、などといった消費者が選択できるお店作りがとても大切になると思います。我々は新しい時代を生き抜いていくために、小売店頭を支えていくことが仕事です。
当社は社是にも書いてありますが、加盟店の繁栄を確立し、国民経済の発展に寄与することを目的として結成されました。まさにボランタリーチェーンである当社の試みは、いずれ国民経済の発展に寄与するものと思っております。
―スーパーをはじめとした小売業界の苦戦が聞かれますが、そのようななかでも御社の九州地区は19カ月連続で増収になっていますね。
齋藤 店頭施策として展開している新・商品施策がお客さまの支持を受け、既存店売上は伸びています。しかし、昨年12月の数値を見ますと、残念ながら96%と厳しい数値ですが、数量ベースでは前年比100%、客数ベースで98%となりました。とくに、施策の中心のチルド部門は売上98%、数量100%、客数が99%。ドライ部門はそれぞれ99%、100%、99%となっています。これによると、1人当たりの買い上げ点数がアップしていることがわかります。これは、死に筋商品の排除と売れ筋商品の定番価格見直しという、「新・商品施策」の効果が持続していると判断しています。
―私は福岡の過疎地出身です。しかし、帰省するたびにこの過疎地が10年後はどうなるのかと心配しています。少子高齢化も目の前に迫っていますし。過疎地にも多くの加盟店を有している御社は、とくに人口の少ない地域に強いとうかがっています。
齋藤 かつては600m2~800m2の売り場面積を有する食品スーパー、売り場面積数万m2の大型スーパーが、生活を支えていました。それは日本が若い時代に成長していた頃には良かったのでしょうが、高齢化社会になって、大きな施設が小さな施設を潰しています。
消費者にとっては、遠くに行ってしまっては困る人たちもいるんです。とくに、高齢者は近くになければ困る。小型のお店も消費者に求められているんです。小商圏の時代に入っている。そこで買うなら大手でも買える商品、価格であって欲しいというのがニーズ。中産間地域では、個別配達を行なっているところもあります。高齢者世帯からは、できれば配達してほしいという声も多く、バス型食品スーパー、通販をすればうまく行くと思われがちですが、届けるという行為はとても大切です。誰が届けるかが問題なんです。
【聞き手、文・構成:矢野 寛之】
COMPANY INFORMATION
全日本食品(株)
代 表:齋藤 充弘
所在地:東京都足立区入谷6-2-2
資本金:17億6,000万円
加盟店数:1,800店(2009年8月現在)
年 商:(09/8)約979億円
URL:http://www.zchain.co.jp/
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