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特別取材

【不況を生き抜く躍進企業】(2) ~全日本食品(株)(中)
特別取材
2010年2月12日 08:00

的確な顧客分析に基づいた「Z・FSP」もうすぐ始動
全日本食品(株) 代表取締役社長 齋藤 充弘 氏

◇小規模スーパーの必要性

 ―実際に近所に買い物するところがなく、バス移動で買い出しに行く高齢者世帯がある地域もあるみたいですね。小規模のスーパーは大手では戦略上難しく、やはり地場企業でしかできない業態であると思います。

 齋藤 そこで大切なのは、届ける人です。難しい時代に突入し、昔から知っている人が持って来たらこれ以上の安心はないのではないのか、という時代となりました。それができるのは、地元で生まれ育った人にしかできません。これからの時代は、ヒューマンタッチの部分が重要になると思います。ですが、それだけではお客さまはお店には来てくれません。我々は、そのニーズを日々追求しています。

 ―地方スーパーの商品構成のなかで、PB(プライベート・ブランド)商品の比率が高くなっています。PB商品対策などはお持ちですか。

 齋藤 我々はPB商品よりもNB(ナショナル・ブランド)商品の方が強いです。メーカーから直で商品を仕入れ、物流センターに直接商品が入ってきますので、コストを安くできる。有名メーカーのカレールウを例にあげると、大手チェーンと比べても、同じ頻度で納入でき、同程度の価格帯でご提供できています。

 ―しかし、大手と比べて原価が高いような気がしますが。

 齋藤 原価はとても違いますよ。我々はNB商品に関してはちょっとした価格比較をしています。コンピュータで、仕入れデータと加盟店の商品データをそれぞれ分析していますが、今、加盟店に売っていただいているソーセージはほかのスーパーでは(これ以上安くは)出せないと思います。利益は3割から1割ちょっとしかありませんが、大手とは原価ベースでは、大きく異なります。それは、ベンダーを挟まないでメーカーからダイレクトに商品を納入できるから。メーカーとの商談は本社で行ないますが、九州地区への商品供給に関しましては、メーカーからダイレクトに佐賀県鳥栖市の物流センターに納入しています。弊社は経費の約40%が物流費で、物流コストはかかっていますが、リージョナルスーパーには負けない自信があります。

 ―最近では、デフレでスーパー各社特売品などを中心に安売り合戦を行なっていますけれども、売上高は前年対比で100を大きく割っているところを散見します。そのなかで全日食チェーンは、100%を大きく超える成長を遂げていますね。この理由は何だと思われますか。

 齋藤 今は、安いからたくさん商品を買う時代にはなっていないと思います。安いけれども、余分な物を買わない。以前なら牛乳や醤油は1本余分に買っていました。しかし、最近では、お客さまはそれをやらなくなりました。なくなったら補充するというスタイルに変わっています。我々としては、それをいつ買っていただくかが勝負になっています。普段の商品の値付けがとても重要になっているんです。

◇一人あたりの食料残渣が年間200kgの現実

 ―ただやみくもに値下げすれば売れる、という時代ではないということですね。

 齋藤 家庭の消費が変化しているのに、お客さまとスーパーの間でギャップが生まれています。弊社も4,000万点を分析してわかりました。全国どこでも、特売品が売れていないんです。売れないから商品をもっと安くするというのは、お客さまが求めていることではありません。家庭内在庫を作らない。今、主婦は、このようなことを考えているんです。全日本食品(株) 代表取締役社長 齋藤充弘 氏
 そして今までは、食料品がどれだけ捨てられているか話題にもなりませんでしたが、食品残渣(ざんさ)の量は大変なものですよ。話を聞けば、日本人全体で年間約2,000万トンの残渣があるそうです。これを国民一人あたりに換算すれば、200kgの残渣となります。国民一人が一年間に食べる量は300~400kgと言われるなかで、200kgが捨てられているんです。200kgのうち、メーカーで50kg、卸などの中間流通で50kg、消費者で100kg捨てられているのが実態なんです。

 ―そんなに多いとは知りませんでした。

 齋藤 自分の家庭に置き換えればわかるんですよ。仮に食品残渣が少なくなれば、メタボはなくなる。周りを見渡しても、メタボ体型の人たちは減っていないでしょ?食べるものは今までと同じで、少し節約するというのが今流の生活になっています。昨年度はボーナスが15万円減ったというニュースがありました。15万円減った分は、月に換算すれば1万数千円になります。ボーナスは住宅ローンなどでも使われているはずなので、その部分は削ることはできません。そこで、無駄な物を削っていくことになる。食費を削りローンの補填にしているとも思われますが、おのずと食品の使い方が変わってきています。何度も言いますが、安いものを買っているのではなくて、買い方が変わっているんです。

 ―しかし、時代は低価格を求めて、ディスカウントやドラッグストアが成長していますね。

 齋藤 低所得者数は、全世帯の7分の1しかいないことをご存知でしょうか。この逆を言えば、7分の6が一般的な家庭なんです。7分の1市場しか見ていなかったら、商売はできませんよ。

(つづく)

【聞き手、文・構成:矢野 寛之】

COMPANY INFORMATION
全日本食品(株)
代 表:齋藤 充弘
所在地:東京都足立区入谷6-2-2
資本金:17億6,000万円
加盟店数:1,800店(2009年8月現在)
年 商:(09/8)約979億円
URL:http://www.zchain.co.jp/


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