確かにフランク・シナトラと同じほどの人気を誇っていたタイガー・ウッズ。直近のマーケッティング・インデックスでは、「アスピレーション(どれだけ人々を鼓舞できるかどうか)」の分類でアップルの最高経営責任者のスティーブ・ジョブズと同点で、第9位にランクされていた。しかし、今回のスキャンダルの結果、今や2325番にまでランク落ちしてしまった。同じく「セレブとしてのアピール度」に関しても、96位から2225位にまで急落中という有様。短期間にこれほどイメージダウンしたスーパーヒーローはかつて前例がない。
もちろん、ナイキのように、いまだタイガー・ウッズのカムバックを応援したいと考えている企業も無いわけではない。同社のフィル・ナイト会長によれば、「タイガー・ウッズが将来そのキャリアを終える時点で振り返ってみれば、今回の出来事はちょっとしたかすり傷にすぎない。彼は必ず復活する」と期待感をにじませている。困った時に助けるのが真の友というわけだ。
また、ドバイ・ショックが世界を驚かせたばかりだが、中東ドバイに建設中の「タイガー・ウッズ・ドバイ」の行方も気になる。このプロジェクトはドバイ・プロパティー・グループが進めるタイガー・ウッズの名前をつけた広大なゴルフ・コミュニティー・プロジェクトである。クラブハウス、ゴルフアカデミー、ホテル、高級ブティックも完備した7,800ヤード、パー72、18ホールのコースは世界で最も豪華で美しいゴルフ場になる予定だ。
このプロジェクトを進めるドバイの責任者に言わせれば「われわれの計画は順調に推移している。ウッズ氏のプライベートな問題についてはコメントする立場にない」とのこと。しかし、2010年上半期に19億ドルの債務返済時期を迎えるドバイ・ホールディングの傘下にあるこのゴルフ・コミュニティー建設計画が無事に完成するものかどうか、関係者の間では悲観的な予測も出始めている。
【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
国際未来科学研究所代表。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。
ベストセラー『ヘッジファンド』(文春新書)、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)をはじめ著書多数。最新刊は『ノーベル平和賞の虚構』(宝島社)。近刊には『オバマの仮面を剥ぐ』(光文社)、『食糧争奪戦争』(学研新書)、『石油の支配者』(文春新書)、『ウォーター・マネー:水資源大国・日本の逆襲』(光文社)、『国力会議:保守の底力が日本を一流にする』(祥伝社)、『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社)、『団塊世代のアンチエイジング:平均寿命150歳時代の到来』(光文社)など。
なお、『大恐慌以後の世界』(光文社)、『通貨バトルロワイアル』(集英社)、『未来ビジネスを読む』(光文社)は韓国、中国でもベストセラーとなった。『ウォーター・マネー:石油から水へ世界覇権戦争』(光文社)は台湾、中国でも注目を集めた。
テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「サンデー・スクランブル」「スーパーJチャンネル」「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)「とくダネ!」(フジテレビ)「ミヤネ屋」(日本テレビ)など。また、ニッポン放送「テリー伊藤の乗ってけラジオ」、文化放送「竹村健一の世相」や「ラジオパンチ」にも頻繁に登場。山陰放送では毎週、月曜朝9時15分から「浜田和幸の世界情報探検隊」を放送中。
その他、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、エネルギー問題研究会・研究委員、日本バイオベンチャー推進協会理事兼監査役、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、国際情勢研究会座長等を務める。
また、未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにコンサルタントとして関与している。
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