山口井筒屋は、新規出店に伴い山口銀行から18億円の長期資金を借入している。当初の売上計画85億円から65億円の大幅なダウンは、収益計画にも当然大きく影響してくる。
同社の河内一彦社長(3月1日付で相談役に就任予定)は、2月12日付の日経新聞とのインタビューのなかで、「年間10%の売上減が続いても営業利益を出せる体制作りが必要だ」と述べているが、すでにメインの山口銀行からは金利減免の支援を受けていると言われている。
人件費などの経費の一部を本社に付け替えてでも、何とか営業黒字を確保する動きをしているが、実態は赤字と見られている。
なお、山口井筒屋の初代店長には亀岡直広氏が就任したが、同氏は2000年7月12日に民事再生を申請した小倉そごうの店長であった。その経験と手腕を買われて「ちまきや」の店長にスカウトされ、約7年間「ちまきや」再建に努力したが、再度閉店の憂き目にあうことになったのも運命のいたずらかもしれない。しかし、引き続き山口井筒屋の店長を歴任することになった。
亀岡氏を引き続き山口井筒屋の店長に登用した理由は、(1)ちまきやのファンを取り込める(2)急激な態勢の変化による仕入先等の不安の解消(3)地元商店街の繋ぎ役としての期待。(4)売上計画85億円が達成できない恐れがある場合、責任を取らせることができるとの思惑、などがあった。
関係者の話によると、亀岡氏を店長にした本当の理由は、市場規模から見て売上計画自体が最初から絵に描いた餅であったためだという。井筒屋の名で何とかなるというような楽観的な計画は半年で瓦解することになり、昨年の春、業績不振の責任を取らされて任期途中で退任することになった。井筒屋と小倉そごうの戦いに敗れた、まさに「敗軍の将」であった。
なお、その跡を受けた河内氏も、業績不振により更迭されることになった。
【北山 譲】
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