鹿児島県建設業協会会長
「南生建設(株)」社長
川畑俊彦氏インタビュー
長引く不況にあえぐ建設業界。そこに鳩山政権による『コンクリートから人へ』の方針が追い討ちをかける。
しかし、逆境にめげず、郷土の未来と業界の健全な発展に向けて前進しようとする経営者も少なくない。
データ・マックス取材班は先月末、鹿児島県建設業協会会長で「南生建設(株)」(鹿児島県鹿児島市)の社長・川畑俊彦氏に話を聞いた。川畑会長の業界発展にかける熱い思いを紹介する。
─現在の鹿児島県経済界の現状について、お話し下さい。
川畑 ご承知のとおり、疲弊しているというのが現状だと思います。鹿児島県も、特産の焼酎に力を入れたり、観光にも力を注いできました。一時は良かったのですが、景気に陰りが見え始めてからは、冷え切った状態というのが現状ではないでしょうか。景気が良いという業種については聞かないですね。
2月に入りますと日銀の懇談会があるんですが、そこでどういう話が出るのか…。観光、建設業界、それから銀行などの金融も含めていろんな話が出るんですが、果たして、景気が上向きなのか、下降なのか、その辺のところを聞かなければなりません。今、我々が肌で感じているところでは、「景気は悪い」ということですね。
─景気の悪さというのは、「リーマンショック以来」ということでしょうが、我が国の政権交代の前後を比較していかがですか?
川畑 建設業界は、毎年予算が削減されてゆく中で、「もう下げ止まりになるのでは」という期待を抱いてきました。前の政権、つまり麻生政権は経済対策に力を入れました。それが、いずれ日の目を見るんだと考えました。長いトンネルの中から、一途の光、ろうそくの光が見えたと思ったものです。このまま真っ直ぐ進めば、いいことが出てくるという感じでした。せめて平成17年度程度の予算規模に返り、下げ止まりになるということを確信していたのですが…。
政権が交代した途端、「コンクリートから人へ」というような政権で、いわゆる事業凍結とか、見直しとで、予算をガクッと減らされた。来年度の予算が18%の減となれば、我々の業界はどうなるんだろうか、と考え込んでしまいます。先が見えないというのが現状ではないでしょうか。
─厳しい経済環境にあることは理解できます。鹿児島県の建設業界についてさらに詳しく聞かせてください。まずは鹿児島県における建設業への就業人口あたりからお願いします。
川畑 一割強ぐらいを建設産業が担っているんじゃないでしょうか。鹿児島県にとっては基幹産業なんですよ。先日、伊藤鹿児島県知事が、鹿児島県にとっての雇用の問題、地場経済の浮揚などを考えると、建設予算を国並みにどんと落とすことはできないということをおっしゃっていました。有難い言葉だと思っています。
(つづく)
【プロフィール】
川畑 俊彦(かわばた としひこ)
1947年7月14日生まれ。日本大学理工学部卒。大成道路株式会社(現・大成ロテック(株))を経て74年、南生建設株式会社に入社。77年、専務取締役。89年から代表取締役を務める。02年から社団法人 鹿児島県建設業協会会長。業界のトップリーダーとして、その手腕を発揮している。
その他、98年から鹿児島県赤十字有功会副会長、05年から県ラグビーフットボール協会会長を務めている。
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