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「政治家は捨石に」原竹岩海県議インタビュー(3) 【県議インタビュー2】
特別取材
2010年2月16日 08:00

<これからの農業・林業のあり方>
原竹岩海 県議会議員
 ―農政についてどのように思われますか。

 原竹 農業問題は大変厳しいですね。日本国は工業製品を中心とする輸出で外貨を得て、生活をしているわけです。日本とオーストラリアとのEPAが一番わかりやすい。これ以上日本の自動車をオーストラリアに輸出するのだったら、同等の農産品を日本に買ってほしいと迫られています。部分自由化という事になりますが、市場開放すればどうなるか。今コメの関税は700%です。つまり、700%の関税をかけないと日本国内のコメの価格が担保されないということです。
 現在は、自民党がやってきていた集約型農業が中心となっています。今後は品目横断的経営安定政策という、一つの地域に広大な面積の農業経営者がアメリカ型でやっていく施策が進んでいます。これは日本の農業に合わないのではないのかというのが民主党の意見です。まずは一軒一軒の農家を健全な状況に戻さないと、大地主制度に戻ってしまうだけではないかと思います。民主党の農業政策は個別所得保障制度であり、自民党の方針とは全く違います。民主党は、大地主制度について危機感を持っていますから、今現在の販売農家を中心に一定の保証をやっていき、健全になってもらい、生活を安定させていきます。今の農家は赤字決済ばかりですから心配しているのです。
 また、農協は、以前は農民のための農協でしたが、現在では、金融や、旅行や車や洋服・農機具を売ったりとまるで商社のような業務形態になっています。農民のための農協となってほしいですね。農業の改革の中に、農協のあり方、制度までが含まれると思っています。

 ―林業についてはどのように思われますか。

 原竹 林業も大変な問題を抱えています。日本の林業をどうやって支えていくのか。中山間地域は公有林、民有林とに分かれていますが、この民有林が問題です。実際に、「山林には私の子どもすら入ったことがない。子どもは全くこの我が家の山林を知らず、どこまでが境界なのかということも知らない。また、山林を維持するための人を雇うお金もない。だから、自分の目の黒いうちにこの山を現金に変えるしかない」という方がいました。この土地は不動産業者に売られ、そしてやがて産廃業者に売られていきます。担い手がいないことが林業の問題です。

<九州北部から日本のリーダーの誕生を目指す>

 ―最後になりましたが、県議会議員として、これからの福岡の課題を教えてください。

 原竹 福岡県は約500万人の県民を有しており、ポテンシャルに溢れています。そして何よりもアジアに近い。だから、福岡が次の日本を担っていると思っています。そう自覚した多くのリーダーが育っていかなければなりません。
 そして、リーダーや政治家はもとより企業家、文学者、歴史学者全部がアジアに意識を向けないといけません。佐賀県の人口は約90万人ですが、福岡市だけの人口で約145万人います。長崎県の人口は、150万人。佐賀と福岡、長崎が合併すれば約750万人の自治体が誕生します。今後道州制等になった場合、日本の将来は福岡・佐賀・長崎にかかってきます。日本の次のリーダーは福岡にしかいないということです。リーダーの自覚を持った方が必ず出てくるはずです。潔さを旨とし、政治家は捨石にならなければなりません。

(了)

【文・構成:県政取材班】


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