やまやコミュニケーションズは、かろうじて稼動していたキタジマ食品の経営を引き継ぎ、健全化することで債権の保全を図った。「北島さんにも生活がある。工場長などそれなりのポストを用意しました。研究にも専念できるし北島さんにとって最もよい選択だったはず」。その提案を北島氏は一旦、了承したという。しかし、実は結ばなかった。
キタジマ食品はやまやの訴訟や第3者破産に対抗して民事再生での自主再建を模索した。スポンサーに興味を示したのは1社や2社ではない。しかし、いずれも実を結ぶことはなかった。
関係者は「これだけの高い技術なのになぜスポンサーが決まらないのか」と首をひねった。かつて北島氏は「資金繰りに窮し自己破産もやむなしと考えたが、事業だけは残したい」と話し、自己保身でないことを強調している。一方で、ことあるごとに「(竹堆肥は)私でなければできない事業」とも話している。事業だけ残す気概があれば、やまやと決裂してもいずれかのスポンサーで決定したはずである。そもそも、やまやが愕然としたのは、竹堆肥事業に貸し付けたはずの資金があっという間に底をついたことによる。
(つづく)
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