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コダマの核心

2010年は激変してこそ残る(25)~人間・組織は過去を超えられないのか(3)
コダマの核心
2010年2月25日 08:00

<記者に新聞拡販を命じたら>
 
 大手新聞社はオピニオンリーダーとして社会に偉そうなことを主張する。その過去の役割は積極的に評価する。しかし、時代が変化するとともに、既得権に安住してエリート意識に凝り固まってきた。記者クラブの閉鎖的な組織の存在が良い例だ。新聞社内は官僚制的統制と嫉妬で渦巻いている。派閥間の足の引っ張り合いも凄い。ヒットスクープマン記者には能のない上司は皮肉を浴びせチチくっている。内部を知るほどに「これが世論を喚起させる公器の組織実体か!!」と叫びたくなる。業績が悪化し給料カットされても、世間は誰も同情しないだろう。若手の世代からは新聞は見捨てられつつある。

 さーて、時代に見捨てられつつある新聞社の組織を再構築するのも至難の業である。まず、記者たちの意識革命が喫緊の課題だ。その第一歩は、記者たちに新聞拡販のノルマを科せることである。1カ月で5本、1年で60本くらいの拡販努力をさせてみればよい。世間の厳しさを身に沁みさせることだ。60本と簡単に言うが、一新聞記者にこれだけの援助の手を差し伸ばす奇特な人間がいるだろうか。1年目はまとめ売りで急場を凌げる者もたまにはいるかもしれないが、2年目となれば誰もがギブアップするだろう。

 「名記者である吾輩が新聞ごときを拡販できるか」と嘯く奴もおろう。であれば、「俺はこのシリーズを連載している記者だ。お宅も俺の記事をみて感銘を受けているはずだから1部拡販に協力してくれ!!」と世間に働きかけてみたらいかがかな。「あー貴方が有名な記者さんですか。いつも勉強になる情報いただき感謝しています。1部といわず2部紹介しますよ」と言わせしめたらシメタもの。社会がこの記者の存在を認めた証だ。

 だが、果たして外部から評価をいただける記者は3,000名のうち1割の300人もいるかしら――。残り9割は組織にぶら下がった惨めな存在である。無力さを認識できる記者は誠実な方だ。経営の観点からいえば、3,000名が1年間で60部開拓すると年間18万部増になるありがたい数字である。自然の目減りを食い止めるパワーにはなる。それよりもなによりも、世間の風を理解できる集団になれば組織革命は成功するのだが――。

<ネット融合のビジネス構築しかない>
 
 「有意義な情報提供をしてやる」という傲慢な姿勢で書きまくっていた新聞に対して、若者が価値を見いださなくなってきて久しい。いよいよ部数激減の崖っぷちに立たされている。「広告効果がある」という神話に胡坐(あぐら)をかいて新聞スペースの場所売りを行なってきた。このビジネスモデルも崩壊寸前にある。じゃーどうすれば良いのか、その対策は――結論から言えば、ネット融合の道しか残されていない。

 弊社でも『IB』という紙媒体で商売を行なってきた。将来を見据えると、「『ネットIB』を事業の柱にするしか活路はない」という結論を下した。方向転換に踏み切ってもう8年になる。簡単にはビジネスしている水準に到達できない。まー必死で経営していることは間違いない。大手新聞社も中小企業が淘汰されないように、血反吐を吐くほどの苦労をしている経営水準まで「ネット融合」経営構築に挑戦すれば道も拓かれよう。

(了)

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