国土交通省が、2009年12月に発表している08年12月1日現在の住生活総合調査における住宅の相続、資産について
◇住宅の相続とその意向
現在、持家に居住していない世帯について、相続できる住宅の有無を見ると、「将来相続する可能性がある親などの家がある」と答えた世帯が38.5%で、前回調査と比較して4.7 ポイント増加した。そのうち「相続した住宅に住む」と答えた世帯は全体の6.2%。「相続するが、その家には住まない」「相続するが、その家に住むかどうかはわからない」が合わせて11.8%。「相続するつもりはない」「相続するかどうかはわからない」と答えた世帯は、合わせて全体の20.0%となっている。
◇別荘やセカンドハウスの所有
別荘やセカンドハウスの所有状況について見ると、「所有している」が6.5%、「借りている」が0.3%、「持っていない、または借りていない」が88.8%となっている。
所有者の利用内容は、多い順に、「その他(人に賃借、事業用に利用など)」が33.1%、「親族が日常的に利用」が22.8%、「週末や休暇を過ごすための住宅として利用」が12.6%であった。また「利用していない」が22.5%となっている。
同様に、借りている者の利用内容は、多い順に「勤務地などの近くの日常生活の拠点となる住宅として利用」が35.7%、「親族が日常的に利用」が17.9%、「その他(人に賃借、事業用に利用など)」が11.8%であり、「週末や休暇を過ごすための住宅として利用」は6.2%であった。
◇ローン返済額に対する評価
持家に居住する世帯のうちローンを支払っている世帯は32.9%。これは、前回調査と比較し、2.0 ポイント減少した。また、返済額の平均は、月額9.9 万円であり、前回調査より、0.3 万円の増加。ローン返済額に対する評価は、「生活必需品を切りつめるほど苦しい」が11.4%、「ぜいたくはできないが、何とかやっていける」が60.8%、「ぜいたくを多少がまんしている」が19.6%、「影響ない」が8.1%である。
◇家賃に対する評価
借家に居住する世帯において、家賃及び共益費の平均は月額5.8 万円であり、前回調査と変らなかった。家賃に対する評価は、「生活必需品を切りつめるほど苦しい」が10.0%、「ぜいたくはできないが、何とかやっていける」が52.2%となっている。
◇所有する資産
所有する不動産の価値を見ると、「1,000 万円未満」が21.8%、「1,000~3,000 万円未満」が27.2%、3,000 万円以上の価値の不動産を持つ世帯の割合は、11.2%となっている。また「不動産は所有していない」が29.8%であった。
貯蓄残高の総額について見ると、「100 万円未満」が25.1%、「100~500 万円未満」が26.3%、
「500~1,000 万円未満」が15.0%、1,000 万円以上の貯蓄を持つ世帯が20.3%となっている。住宅の建築の時期について、1950年以前の古い住宅の建築時期をみると、「1868年~1950年」が3.1%であった。また、「明治時代よりも前」という回答も0.2%あった。
トピックとして、住宅ローンにおいて、“何とかやっていける”と回答したのが約60%。多少贅沢を我慢している19.6%を加えると約80%の人々が、数字上生活に困窮するほどではないようだ。また有する貯蓄において、1,000万円以上の貯蓄を持つ世帯が20%を超えるなど、悲壮感は強くない。
だが、経済界の先行きが不透明であり、不安定な状況が続いており、積極的に住居へ投資する人が増えるかは別問題。ハウスビルダーの地道な顧客活動と地域戦略がポイントとなるようだ。
【河原 清明】
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