公立大学法人福岡女子大学(以下、福岡女子大)の改革計画ができるプロセスにおいて、求められるべき県行政の透明性に対し、疑問を抱かざるを得ない事実が判明した。
2008年1月25日から2月7日まで、福岡県によって募集された『福岡女子大学改革検討委員会提言案に関するパブリックコメント』が、福岡県庁ホームページに公開されてから約4ヶ月で“消失”していたのである。ここでいうパブリックコメントとは、同提言案に対し県民から寄せられた意見、つまり“県民の声”である。消えた県民の声を追った。
福岡女子大改革への提言を作った検討委員会は、07年7月24日に開催された。座長の九州大学名誉教授・杉岡洋一氏、副座長の九州電力㈱代表取締役会長・松尾新吾氏をはじめ、メンバーにはそうそうたる各界の有識者が選ばれている。また、オブザーバーとして福岡女子大同窓会長の福田順子氏も参加している。繰り返しになるが、福田氏は同窓会長と香椎幼稚園を運営する筑紫海学園理事長を兼任する人物だ。
15日、同パブリックコメントについて県学事課大学係へ問い合わせた。返答は、「経緯はよく覚えていないが、文書を見つけ次第連絡する」。なお、同じ質問は、福岡女子大関係者にも行なっており、即答的に「確かに2年前はあった」との証言を得ていた。
翌16日、県庁同係から連絡があり、見つかった同パブリックコメントの写しを受領した。その際、ホームページから消えた経緯について質問した。すると、「20年6月に大学改革の準備委員会のページを立ち上げた際に消えていました。意図的にやったわけではありませんよ」との返答。「では過失か?」と問い詰めたが、その可能性も否定する。意図的でもなく過失でもない。“自然消滅”でもしてしまったのだろうか?
寄せられた“県民の声”は954件。なかには大学改革そのものに対して批判的な意見もある。大学改革に疑問を持つ福岡女子大関係者のなかには、消えてしまった同文書を印刷し、大事に保管している人も少なくはないという。
対照的に、検討委員会(全7回)や改革計画の準備委員会(全4回)における議事録はしっかりと公開されている。「都合の良い内容だけを掲載している」と批判されても仕方がない状況ではないだろうか。
本来、公開されておくべき文書である。その全文を以下のPDFファイルで閲覧できるようにした。失われた“県民の声”をご覧いただきたい。
▼関連リンク
『福岡女子大学改革検討委員会提言案に関するパブリックコメント』(PDF)
福岡県庁ホームページ
・福岡女子大学改革検討委員会 開催結果
・福岡女子大学の抜本改革に向けた準備委員会 開催状況
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