福岡市漁協による博多湾支配の実態が、またひとつ明らかになった。
市漁協と関係の深い地場マリコンとして「博多港管理株式会社」(中央区)、「博多湾環境整備株式会社」(博多区)、「株式会社コンドー」(中央区)の3社が存在する。
「博多港管理」は、市漁協と密接な関係を有しており、本シリーズ(『港湾事業の闇』)で指摘してきたように、子会社である「コンドー」の取締役には市漁協箱崎支所の運営委員会会長(旧組合長)や市漁協組合長の身内が名を連ねる。
「博多湾環境整備」の取締役には市漁協の組合長本人、監査役には前出の市漁協箱崎支所の運営委員会会長が入っている。
箱崎支所の運営委員会会長は、漁業権を盾に公共事業を止める力を持つ「博多湾漁業権管理委員会」の委員長だ。同委員会が、08年10月に国土交通省九州地方整備局が発注した「博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)」の着工を1年近く遅らせたことは、詳細に報じてきた。『漁協はマッチポンプ』との厳しい批判が出るのは、市漁協と地場マリコンの一体化が背景にある。
前出3社は、「漁業権」という強力な武器を持ち、福岡市における港湾事業を事実上支配してきたといわれる。博多湾で公共事業が進められる歴史の中で、漁業者への配慮として過剰な補償が行われてきたのだが、その一環として設立されたのが「博多湾環境整備」であり、創業者が元漁師といわれる「博多港管理」にも最大の配慮が払われてきたという。
九州地方整備局はもちろん、博多湾で公共事業を行う福岡市なども、両社には神経をすり減らしてきたとされる。両社の背後にある市漁協の横槍を怖れたのである。その結果、冒頭の3社が、福岡市及び市の外郭団体から、独占的ともいえるほど多くの仕事を受注しているのである。明日からその実態を紹介する。
(つづく)
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