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特別取材

天神プレイスにまつわる裏話 売買仲介報酬をめぐる争い(3)
特別取材
2010年2月24日 08:00

アークエステートの視点

(1)事の経緯

 08年11月頃、進退極まったアーム・レポの田中氏は、1人の男に会社の将来を託した。それがアークエステート前代表の山本博久氏だ。奇しくも、山本氏は過去に当該地を保有していた東峰住宅産業の代表を務めていたこともあり(実際に土地を購入したのは、山本氏が代表を退いた後の会長と社長)、山本氏自身も「不思議な縁だ」と回顧するほどのタイミングだった。

 「山本さん、何とか天神プレイスの買い手を見つけてほしい」―すでに不動産バブルもはじけており、かなり実現困難な依頼だったが、山本氏はこれを引き受けて買い手を見つけることを約束。同12月には、売買が成立した場合の媒介報酬額を6,300万円(税込)とすることで合意し、09年3月には正式に「専属専任媒介契約書」を作成した。

 そこで山本氏は、やずやの関連会社であるやず企画に買い取りを打診。前向きに検討する姿勢を示したため、アーム・レポにやず企画を紹介し、売買価格の調整などを行ない、09年7月頃までに売買価格を約44億円とすることで原告・被告らは合意した。

 その後、同8月頃にやずやHDが正式な買い主となったが、同時期に大成建設がアーム・レポに対して天神プレイスを請負代金債権の代物弁済として譲渡し、同日付で大成建設がやずやHDに物件を譲渡するという売買スキームを提案。同9月末にアークエステートを外したかたちで、アーム・レポと大成建設の間で代物弁済契約が、大成建設とやずやHDの間で売買契約がそれぞれ成立し、同時にアーム・レポからやずやHDに所有権移転登記が直接経由された。

(2)原告の主張

 まず、媒介契約に基づく報酬請求権は「原告の媒介による売買契約成立」を停止条件とする債権。今回はアークエステートを介したかたちになっておらず、停止条件は成就していない。

 しかし、アーム・レポの大成建設に対する代物弁済と、大成建設とやずやHDの間での売買が同日付で行なわれており、所有権移転登記もアーム・レポからやずやHDに直接経由されていることから鑑みて、大成建設が天神プレイスをやずやHD以外に売却したり、一時保有したりする意思がなかったことは明白だ。原告による仲介がなければ大成建設は今回の売買を成しえておらず、実質的には大成建設の関与のもとに原告を排除したかたちで売買契約を成立させた。

 とくに大成建設については、アークエステートが天神プレイスの売買仲介をしていたことをあらかじめ知っており、これを排除すれば報酬請求権が侵害されることは認識していた。したがって、こちらもアーム・レポ同様に不法行為に基づく同額の損害賠償義務がある。そこで、両社に媒介報酬6,300万円を支払うよう催促したものの、いまだ履行されていない。

(つづく)

【大根田 康介】


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