「福岡市内および近郊のマンション供給が飽和状態のなかでも、完売している物件はある。春日原南町MJRマンション96戸が比較的短い期間で完売したという。突出した特色は住居自体にはないが、西鉄の春日原駅から徒歩約4分。小学校やスーパーマーケットが近隣にあり、生活環境は非常に良い。
こだわり住宅や高品質がクローズアップされているなか、やはり住まいの購入においては、実際住む際の生活環境を優先させる購入者が多いのではないか」と福岡近隣のある住宅建材販売会社の代表は語る。
続けて同氏は所見を述べた。「福岡都心部から離れた“田舎”に住む60歳以上のシルバー層が持ち家を処分して都心部のマンションを購入。もしくは、賃貸マンションに住まいを移す傾向が高まっている。60歳以上の夫婦になると、子供たちが独立して自分達で住まいを構えている。実家に戻ってくることはない。夫婦2人が暮らせる住空間で充分なのだ。お金にある程度余裕があれば、コンパクトなスペースでアクセスが良好といった利便性の高い、価格の手頃な都心部のマンションに住まいを移すのである。住まいに対する価値観はそれぞれあり断定できないが、意外にも昨今のシルバー層において思い入れのある家を手放して、利便性を求める傾向があることは事実だ。マンション市場もまだまだ掘り起こせる市場であるのではないか」。
高齢化社会が加速するなか、シルバー層の住まいへの意識が多様化してきていることは確かである。
【河原 清明】
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