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未来トレンド分析シリーズ

東南アジアにおける原子力発電の可能性(1)
未来トレンド分析シリーズ
2010年2月25日 10:15
国際未来科学研究所代表 浜田和幸

 アメリカではオバマ大統領が新たな原子力発電所の建設再開に向けて積極的な支援体制を組み始めた。世界の環境問題やエネルギー事情を考えれば、原子力発電に対する期待が高まるのも頷けよう。そんな中、経済的に急成長を遂げるアジアにおいても、安定的なエネルギー供給が期待できる原子力発電ビジネスが動き始めた。

 2007年にシンガポールで開催されたアセアン首脳会議の席上、再生可能エネルギーや代替エネルギー開発を進めると同時に原子力発電の支援策が熱心に話し合われたものである。意外に思われるかも知れないが、東アジアや東南アジア地域は世界の中で最も急速に原子力発電事業が推進されている地域に他ならない。

 現在稼働中の原発も110カ所ほどあり、建設中が約20カ所、計画中に至っては110カ所を数える。しかも、こうした原子力発電所本体に加え実験用の原子炉が14カ国にわたり56カ所も存在している。これほど原子力発電を前向きに捉えている地域は珍しい。いわゆる環太平洋地域においては原子力の実験炉を所有していないのはニュージーランドとシンガポールだけである。日本の55カ所を筆頭に韓国や中国、台湾、そしてインドやパキスタンなどでもエネルギーの安定供給に向け様々な実験が繰り返されている。

 そんな中、大きな注目を集めているのが東南アジアであろう。例えばラオス。同国の副首相はイランの大使との会談で「全ての国が原子力の平和利用を目指すべきだ。また、その権利を保障されるべきだ」と発言。石油資源が近い将来、枯渇することもあり得るわけで、その過程において原油価格の急騰も避けられない。ラオスのような発展途上国にとっては石油に代わる安定的なエネルギー供給源の開発に、血眼になって取り組まざるを得ないと言えよう。

(つづく)

【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
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 国際未来科学研究所代表。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。

 ベストセラー『ヘッジファンド』(文春新書)、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)をはじめ著書多数。最新刊は『ノーベル平和賞の虚構』(宝島社)。近刊には『オバマの仮面を剥ぐ』(光文社)、『食糧争奪戦争』(学研新書)、『石油の支配者』(文春新書)、『ウォーター・マネー:水資源大国・日本の逆襲』(光文社)、『国力会議:保守の底力が日本を一流にする』(祥伝社)、『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社)、『団塊世代のアンチエイジング:平均寿命150歳時代の到来』(光文社)など。
 なお、『大恐慌以後の世界』(光文社)、『通貨バトルロワイアル』(集英社)、『未来ビジネスを読む』(光文社)は韓国、中国でもベストセラーとなった。『ウォーター・マネー:石油から水へ世界覇権戦争』(光文社)は台湾、中国でも注目を集めた。
 テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「サンデー・スクランブル」「スーパーJチャンネル」「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)「とくダネ!」(フジテレビ)「ミヤネ屋」(日本テレビ)など。また、ニッポン放送「テリー伊藤の乗ってけラジオ」、文化放送「竹村健一の世相」や「ラジオパンチ」にも頻繁に登場。山陰放送では毎週、月曜朝9時15分から「浜田和幸の世界情報探検隊」を放送中。
 その他、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、エネルギー問題研究会・研究委員、日本バイオベンチャー推進協会理事兼監査役、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、国際情勢研究会座長等を務める。
 また、未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにコンサルタントとして関与している。

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