裁判案件や支払い遅延などで動向が注目されている、靴のクリーニングとリペアを中心に手掛ける（株）シーズン（本社：福岡市南区、代表：中村克己）。大阪市のイマスが原告として、旧本社の福岡市博多区諸岡の旧本社物件における賃料の支払い遅延について、シーズンに約653万円を請求した裁判も現在進行中だ。

　（株）フランチャイズ・パートナーズとのフランチャイズ展開における独占契約を結んでいたが、2店の出店にとどまり「事業計画の進捗性並びに成果に対する不信感から」契約解除をシーズン側から申し入れ、関係を清算するという。

　同社の09年９月期決算によると、売上高１億2,210万円に対して売上総利益9,344万円だったものの、販管費１億3,666万円で営業損失▲4,322万円、経常損失▲4,946万円、当期純損失▲9,947万円、純資産▲8,517万円の債務超過となった。同期は各ウェアクリーニング業者3社との提携を進める一方で、直営店を5店舗閉鎖し9店舗まで圧縮。さらに採算確保のため、４月にクリーニングの価格を1,500円→2,800円へ改定した。

　今期は（１）既存加盟店に対する資材供給を中心としたボランタリーチェーン組織への移行、（２）「シューズ・キューピッド」と名付けたデリバリー事業の組織化、（３）福岡県内の精神科病院との作業療法における技術提供、（４）2011年開業予定の福祉事業所における靴クリーニング事業などで業績向上を目指すとしている。

　ただ、現状はこれらの計画遂行は難しいと言わざるを得ない。現預金が09年9月期時点で110万円しかなく、一部従業員（退職者含む）への給与支払いが滞っているとも聞かれる。社員のリストラも行なっており、08年期に比して約半分となり３名の取締役のうち代表を除く２名も交代した。有利子負債も長短借入金合わせて7,288万円と売上高に対して重く、金融機関の対応もシビアな状況のようである。

　同社はその技術力を全面に押し出しているものの、実際にはリストラの影響による技術力の低下で、解決できないリペアは他社に頼んでいる状況であるが、そこへの支払いや他の仕入業者への支払いも一部遅延している模様。取引が継続できなければ技術的にも厳しい立場に置かれる。上記の各企業との提携も、同社の取引業者からは「なかなか進んでいないようだ」とも聞かれ、業績回復への道のりは険しい。

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