2月3日からアメリカの住宅事情と建築資材の展示会の視察に総勢17名で参加した。2007年夏にアメリカでサブプライムローン問題が発生し、翌08年9月には大手証券会社リーマン・ブラザーズが経営破綻し、世界経済に大きな衝撃を与えた。日本でもこの影響を大きく受け、依然として不動産事情は芳しくなく、経済停滞の大きな要因ともなっているのは周知の事実である。アメリカでも数十万人の人たちが住居を追われ、テントでの生活を余儀なくされるなど、当時は厳しい状況が連日報道されていた。では、実際の状況はどうなのかを含めて、ラスベガスとロサンゼルスの住宅・建設事情の現状をレポートする。
<購入の決め手は治安と学校>
アメリカサイズとしては小型で価格も安くないのだが、リーマンショック以降もまずまずの販売実績を残しているが、これは「治安」「学校」での安心感が大きいという。
確かにリーマンショックで所得は下がっている人が多いというが、購入者層の大半は年収が800万ドルから1,000万ドルと聞かれ、この層は大きな影響は受けていないようだ。
それでも、一部にはギリギリの選択者もいるようで、購入後は共働きを余儀なくされる人たちも多いという。それでも、この住宅が売れているのは「治安」「学校」の安心である。
日本と違って、居住区によっては昼間でも安心できない地区は多く、学校に関しては日本では想像できないほど乱れているところもあるようで、子供を安心して学ばさせるためには、多少の無理をしてでも買うことになるそうだ。
開発の一部はストップしていると聞かれるが、広大な開発地の一部であり、今も写真のように次々と住宅を建築しており、「この価格で安全と教育を手に入れられるなら安いもの」というデベロッパーの強気な姿勢も、売れ行きと来場者からもうかがえる。
(つづく)
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