民主党・新緑風会・国民新・日本の山根隆治議員は1月28日、参議院予算委員会で補正予算に関する総括質疑に立ち、統合医療に関する質問を行なった。
同議員は冒頭、統合医療の基本理念に触れ、鳩山由紀夫内閣総理大臣の統合医療にかける思いについて質した。
答弁に立った鳩山首相は、医療には大きく分けて、対症療法的な西洋医学、未病・予防を目指す統合医療の2つがあるとし、わが国の医療制度が西洋医学的な医療に傾斜している実情を説明した後に、「統合医療については今後克服すべきさまざまな問題がある」としながらも、政府として「真剣に検討して、推進していきたい」とその決意を述べた。
山根議員は統合医療に対する厚生労働省の担当窓口が、「漢方」、「鍼灸」、「柔道整復」、「音楽療法」などの診療に応じて細かく分かれていて一本化されていない現状を指摘。一本化の必要性を強調したうえで、長妻昭厚生労働大臣の見解を質した。
◇「窓口を一本化する」(長妻厚労相)
長妻厚労相は、厚労省内で統合医療に係る部署が「大臣官房」、医政局の「医事課」、「経済課」、「研究開発振興課」、保健局の「医療課」など、ほかにも細分されている事実を明かしたうえで、今後は一本化していく意向を示した。
また、ホメオパシーをはじめとしたさまざまな代替医療について、本年度の予算で10億円以上の予算を計上し、プロジェクトチームを発足すること明言した。プロジェクトチームでは今後、具体的な研究について支援する。
山根議員は、統合医療に欠かせないのが科学的な根拠、有効性、安全性などのエビデンスであると主張。現在、九州大学・東京大学・東北大学などを中心にエビデンスの蓄積に努めている現状を紹介する一方で、統合医療に携わる学会などが予算的に厳しい状況にあることも併せて紹介。今後は国が積極的に関わって、エビデンスの蓄積に協力することを要請し、結果的にそのことがまやかし的な代替医療を医療界から駆逐することになると言外にほのめかした。対する長妻大臣は、「国としても(補助金の交付というかたちで)これまでに蓄積されたエビデンスを一元化し、検証していきたい」と答弁した。
◇「中国との協調をさぐる余地ある」(同)
統合医療の国際標準化について山根議員は、中国における中医学を中心にまとまりをみせる世界の動きに対し、反対の姿勢を示しているわが国の立場に言及。研究者任せの国の態度を批判するとともに、積極的な国の関与を要請した。
これに対して長妻厚労相は、国際標準化の動きがあることを認めたうえで、「中国との協調をさぐることについて議論の余地はある」と、現在の国際標準化の動きに同調する可能性があることを示唆した。この間、質疑は約12分にも及んだ。
東京大学名誉教授の渥美和彦氏らによれば、統合医療とは、「近代西洋医学を中心に伝統医学や相補代替医療を併用することで、対症的な療法だけに依存するのではなく、患者中心の医療に努めることで疾病の予防・健康増進を図ろうとするもの」だとされている。そこには科学的根拠の明確な健康食品なども含まれている。民主党のマニフェスト医療政策詳細版にはそのロードマップが記されている。
【田代】
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