民主党への期待が色あせはじめた。
小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り、政治資金規正法違反の疑いで逮捕・起訴された衆議院議員・石川知裕被告が、議員辞職や離党をしない方針であることが報じられている。
さらに、自民、公明、みんなの党の野党3党から提出された石川容疑者への議員辞職勧告決議案について、民主党は採決どころか議案の上程さえ認めない方針とされる。
政権交代までの民主党は、自民党議員による「政治とカネ」の疑惑に、厳しく対応してきた。鳩山首相はかつて、「秘書が逮捕されたら議員は責任を取って辞職するべきだ」とまで述べている。しかし、政権政党となった民主党は、逮捕・起訴された議員を野放しにして、親分である小沢氏の管理、監督責任さえ追及できないでいる。
小沢幹事長への疑惑は、検察捜査の上では「起訴猶予」となった。しかし、多くの国民がこの結論に納得していない。その証拠に、各種世論調査では小沢氏の幹事長辞任を求める声が圧倒的だ。小沢氏に批判すらできない民主党議員らのふがいなさも相まって、支持率も下降の一途である。
政権交代直後、事業仕分けなど派手なパフォーマンスで期待を集めたものの、バラマキにより予算規模が史上最大の95兆円に膨らんだだけ。凍結したはずの道路予算も6割を復活させている。民主党議員が、個別に前原国交相に頼んで予算を復活させた例も報じられており、事実とすれば恣意的な予算組みであると言えよう。
さらに、「個所付け」を巡っては、党として国会審議まえに自治体に知らせたことが明らかとなっており、国会軽視、予算の政治利用との批判が出ている。
いずれも自民党の手法を上回るえげつなさだ。
国民に広がっているのは、民主党への不信であり、政治へのあきらめである。現職首相の鳩山氏や実質的ナンバー1の小沢氏が、政治とカネの問題を引き起こし、予算審議への集中力を奪ってしまった。繰り広げられる永田町の光景は、自民党政権時代よりも幼稚である。「結局何も変わらなかった」そうした声が上がるのは無理のないことだろう。
冒頭、「色あせはじめた」と記したが、民主党の主張には、もともと色などついていなかったのかもしれない。
【頭山】
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