以前より「Net-IB」で報じている大分県下の生コン価格。とくに乱売合戦で暴落している大分地区では、m3あたり5,000円→4,000円→3,000円台と下落し続けてきた。収集がつかなくなった大分地区の協同組合は、解散して現在も無法状態。各工場が直に販売している状況である。
大分県下の生コン関係者に問い合わせたところ「以前みたいに3,000円や4,000円という価格では販売していないと聞く。工場によって価格が異なりまた発注量によっても違ってくるので何ともいえないが、m3あたり5,000~6,000円位ではないか?」との回答を得た。
5,000~6,000円でも安すぎる。生コンの損益分岐点は8,000~9,000円/ m3。どうみても商売にならない。セメント代金など原材料費を仕入先に支払わず、「未払金状態が何年も続いている」(大分県内生コン関係者談)のである。
そしてもう一つ要因がある。大分県佐伯・津久見市は『セメント城下町』とも言われている。我が国トップメーカーである太平洋セメントが両市に製造工場を構えていることがその所以である(津久見市にはセメント町という町名も存在する。我が国では山口県小野田市にセメント町、神奈川県川崎市川崎区に「セメント通り」があり、セメントと付く住所は稀有な存在であることがわかる)。
陸路のみの輸送であれば相当コストが下がる。よって、セメントを比較的安価で仕入れることが可能となる。つまり、生コン価格に転嫁できるのである。大分県全体でも、全国的に見て価格は安価で、2000年以降1万円/ m3を割り込んでいる。ただし、大分県内でも全うな地区は存在する。全てが暴落しているのではない。
佐伯市の大分県南地区生コン協組は1万5,000円/ m3、津久見市・臼杵市の臼津生コン協組は9,500円/ m3で販売している。アウトサイダーもあまり変わらない。よって、大分市内の5,000~6,000円/ m3は異常な価格であり、県平均1万円/ m3を割り込ませているのは、この暴落価格が一番の要因である。
出荷量激減のなか、自然淘汰される大分市内の工場が続出するのではないか?
【河原 清明】
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