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コダマの核心

2010年は激変してこそ残る(27)~人間・組織は過去を超えられないのか(5)
コダマの核心
2010年3月 1日 11:29

資格士ビジネスの受難(中)

<顧問料が振り込まれない>

 弁護士事務所運営のビジネスモデルは、顧問料で事務所経営を賄い、法廷依頼人料で弁護士本人の生活費ともうけを稼ぎだすことが基本であった。ところが、その顧問料を振り込むことを止めるクライアントが増えた。払える余裕すらなくなった厳しい経営の現実がある。
 後述する税理士と違い、弁護士の場合は、月々の顧問料を受けることが容易でない(税理士の場合、月々の決算処理を頼む業務があるため、クライアントは払う必然性を感じる)。クライアントも訴訟案件が生じた際に、「一時支払いをすれば良い」との認識をしている。
 そうなると開業したばかりの弁護士たちは顧問料収入で事務所を運営することが窮屈になる。先輩たちは長年の実績により、数多くの顧問先があるから少しは楽だ。若手の開業弁護士は自分の売り込みに必死である。そのなかでは得意分野に集中する傾向が目立つ。
 一方で、今は中小企業も中国、アジア進出を図っている。その流れに沿って国際弁護士事務所が増えてきた。事務所の存在をアピールするためのセミナー開催も見かける。弁護士も外交能力が求められるようになってきたのだ。
 待ちの姿勢で飯が食える時代は、遠い彼方へ行ってしまった。

<銀行折衝が出来ない税理士>

 福岡では、企業再生のコンサルを最初に手がけたという先生が、呆然とした様子で語った。
「コダマさん!税理士先生たちはね、クライアントのために銀行交渉をする能力がないのだよ。私のところに『銀行交渉の手引き書をタダで教えてくれ』とやってくる。まったく厚かましい奴等だ」。
 私は、「税理士が銀行と掛け合うことができないとは不思議な話ですね。そのくらいのコンサルができないのですか?」と尋ねた。
 すると、「彼らは『税理士』という資格の名前どおりに税務申告をする能しかない。顧客が資金繰りに 困って金融相談をしても対応できない輩が多いのだ。普通なら得意先の悩みを解決しようと努力するのだが、そういう発想がでてこない。今まではそれで飯が食えてきたのだが、税理請負だけでは厳しい情勢になってきた。先行きに不安を抱き始めてきたので(私への)相談が増えてきたのだ。こうなれば“税理士先生が飯を食えるためのセミナー”を企画しなければなるまい」と、得意げに語った。
 一般の感覚からすれば税理士業は経営コンサルの一種と考える。税理業務はさておき、せめて銀行折衝くらいの役目はできるだろうと確信していたが――。

 前出の企業再生の大御所が指摘していた。「『中小企業金融円滑法』の理解がなされていない。税理士たちが時代の変化に対処できていないのは哀れである」と。
 私は自問自答する。「資格に守られてきた身では激変時代にしたたかな対応をできないものなのか、沈没は必然なのか」と。

 この企業再生の大御所本人には税理士の資格がない。税理業務、経理業務のプロであった本人はクライアントの企業再生を成就させるために銀行、利害関係者、裁判所を説得する書類作りから始めた。何事にも無から挑戦してきたのである。
 資格士のように「いくらしたから対価はいくら」という取り決めはなかった。成功報酬のようなものだから対価を得るために不眠不休で頑張った。結果、今日の権威を確立したのだ。税理士さんなら簡単にこなせる領域のはずなのだが、現実はこなせないのである。

(つづく)

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