原告の反論と今後
原告は被告の答弁に対し、次のように反論する。
(a’)具体的な金額については、やずや本社にて会談を行ない、09年7月に2億円上乗せした約44億円で決定。大成建設、アーム・レポにも連絡した。ゆえに、この時点で合意に達しており、アーム・レポからやず企画に宛てた回答書もある。買い取り要請も大成建設側からなされた。
(b’)同4月20日には大成建設の営業担当部長にはっきりと説明した。意思を持ちようがなかったのではなく故意に隠している。代物弁済についても、営業担当部長はやずや以外に処理しようがないと言っていた。
こうしたことの他にも反論の余地を残しているが、当該案件は裁判が進行中であるため、詳細を報じるのは今回ここまでにしておきたい。ただ、気になった点について少し触れておこう。
まず、アークエステートがアーム・レポの「専属専任媒介業者」だったとしても、やずやHDの「代理人」だったとしても、40億円を超える大型案件でアークエステートが果たした役割は見捨てがたいということだ。逆に言えば、アークエステート抜きで、大成建設とアーム・レポはどのようにやずやHDに目をつけ矢頭会長を口説いたのか、明確に証明する必要があるだろう。
また、不動産仲介の契約がアークエステートとアーム・レポの間できちんと交わされており、やずやHDを紹介した事実があるとするならば、法律や認識云々以前に商取引のモラルとして労働に対する対価を払うのが通常ではないか。これについては田中氏自身も、「払うものは払うが、当社は大成建設から交渉において蚊帳の外に置かれており、詳細が分からない。裁判の決定に従う」と答えている。
それぞれの主張がまったく異なる部分もあり、論点をうまく整理できたか分からないが、判決が出るまで当該裁判の行く末を見守っていきたい。
【大根田 康介】
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