福岡県議会の行う委員会視察について、取材を進める中で見つかった裏口座。発覚に至る経緯は次のようなものだった。
先月、データマックス取材班は、県町村会による一連の事件を取材する過程で、福岡県議会に対し県議会の委員会(議会運営委員会のほか常任委員会が8、特別委員会は7)が行なうそれぞれの視察に関する出張命令などの関連文書を情報公開請求した。入手した公文書によってはじめに判明したのは、例えば金沢の兼六園や名古屋の徳川美術館など、名所・旧跡の見学に時間をかけ、観光目的としか思えない視察の実態だった。
福岡市近辺の視察で、市内の高級ホテルを利用いていたことを報じたが、東京では1泊4万円を超えるような高級ホテルに宿泊していたことも分かっている。税金のムダ遣いとしか言いようのない県議会の有り様に、疑問が膨らむばかりだった。
問題視したのは、1日19,200円の「日当」で、なぜこうした豪華な旅行が可能だったのかという点である。例えば、高級ホテルの宿泊費は30,000円から40,000円超。これに昼食や宴会費用が加算される。昼食も有名店ばかりだ。当然1日19,200円の日当額では不足する。議員各自が自腹を切ることになるが、視察のたびに集金するのか、別の方法なのか、書類上は判然としない。領収書が全く残されていないため、支払期日もわからない。どう精算したのか確認できないようになっているのだ。そもそも、それぞれの視察における「日当」については、いつ、どのように支払われているのか、明らかにされたことがない。県議の資産公開の数字によれば、「日当」が「収入」としてカウントされた形跡もないのだ。ブラックボックスと言っても過言ではあるまい。支払い方法や精算の流れについて確認するため、視察における事務処理を担当する議会事務局に話を聞くことになった。
議会事務局側は取材に対し、「管理はこちら(議会事務局)でやっている」とした上で、日当の支払いにおいては「(県議への)振込みはしていない」という。しかし、決済された文書の上では、各県議に対し事前に支払った形となっている。この時点で管理方法に疑問を感じるのは自明の理だろう。さらに、「手渡しでもない」と言い、「別に管理している」と明かしてくれた。
(つづく)
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら