3月30日に太平洋セメント側から、今回の佐伯・土佐・秩父のセメント生産中止実行時期を含む、今後の国内セメント生産体制や営業・物流体制、組織・人員体制について発表される予定である。セメント生産以外の事業については、行政や各関係各位と誠意を持って協議していく方針を示している。地元では、セメント生産中止は「9月くらいではないか」と見ている。
協力企業の津久見への参入については、「期待できない」「有り得ない。なぜなら、津久見は津久見で協力の下請業者が存在する。そこに入り込める可能性はゼロに等しい」と、佐伯の協力下請業者は厳しい見解を示している。また、「2004年3月に福岡県香春町の工場が閉鎖になったときも、下請は苦しんだと聞いている。我々もそうなるのかどうか分からないが、慰めなどより仕事が必要なのだ。私は造船などほかの企業にも顧客を持っているが、本当に100%太平洋セメントに依存していた地元の下請零細は、崖っぷちであろう。もちろん、私の会社も大きな痛手である。だが、考えてもセメント生産中止は決まってしまったのだから、次にどうするのか手を打つしかない。苦境のなかでも」と続けて語った。
地元の企業、行政そして住民を失意させた今回の太平洋セメント佐伯プラントでのセメント生産中止決定。その落胆は想像以上に大きいモノであると、改めて痛感した。佐伯の経済や生活、そして文化にも大きな影を落とすことであろう。今後の展開として太平洋セメントは、今まで支えてくれていた下請協力企業に対して、誠意ある言葉も大切だろうが、それよりも具体的にできる限りの補填を行なうなど、本当に“誠実”な態度で対応しなければならないであろう。あっさりと切り捨てて、「後は知りません」という冷淡な対応だけはないよう祈るばかりである。
【河原 清明】
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