国土交通省が行なっている「総合評価方式」と呼ばれる入札方式に、新たな疑問が浮上した。
総合評価方式は、昨日報じたとおり、価格を含めて企業側が提案した内容を総合的に評価して落札者を決めるもの。談合やダンピング受注を防ぎ、公共工事の品質確保を目的に創設されたものである。国交省は、2006年に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が施行されてから本格導入に踏み切り、現在は多くの自治体が同方式を採用している。
落札者決定にあたっては、発注者側が、応札業者から提出された技術評価項目について採点、価格を含めた総合評価を下し、その後有識者らによる第3者委員会で検討され落札者が決定する仕組みだ。
落札者決定までの過程には、民間企業など他の機関は関与していないと思われていたが、国土交通省九州地方整備局発注の港湾事業について取材する過程で、全ての総合評価の「技術審査補助」あるいは「技術審査支援」という形で、『業務委託』が行なわれていたことが明らかになった。
一例を挙げれば、09年4月1日に九州地方整備局が発注した『管内食港湾空港技術審査補助業務』。09年度に行われる同局の空港、港湾関係事業の総合評価に関する参加資格要件の確認や総合評価委員会資料の作成といった業務を、約3,000万円で東京のコンサル事業者に発注していた。随意契約による。
情報漏れを含めて、制度の信頼性に疑問符が付けられるが、九地整側は「契約でしばっているから情報漏えいはない」としている。しかし、総合評価による落札者決定までの過程に、国交省とその第3者機関以外が関与していることは一般には知られていない。総合評価方式を採用している地方自治体の関係者や建設業界からは「知らなかった」「情報管理は大丈夫なのか」といった声も聞かれる。
この問題について、さらに詳しく見てみたい。
(つづく)
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