井筒屋への金融支援は富士銀行(現みずほ銀行)、山口銀行、福岡銀行の主力3行主導で行なっていた。しかし、低迷する「ちまきや」(山口市)を「山口井筒屋」として引き継がせることにした山口銀行に対して、みずほ銀行と福岡銀行が井筒屋支援に距離を置くようになり、山口銀行の影響力が増してきたと言われる。
山口井筒屋は一昨年11月にオープンし、年商85億円の経営計画を発表したのも束の間、昨年春には75億円に修正したが、実態は65億円と20%近い減収で計画から大きくかい離している。消費の一段の冷え込み等も重なり井筒屋は10年2月期連結決算の純利益は1億円の黒字予想から一転して30億円の赤字に転落すると下方修正した。
同時に人事異動も発表した。3月1日付で中村真人社長に代わって、社長執行役員営業本部長に影山英雄氏、専務執行役員管理本部長には坪井栄一郎氏が就任すると発表した。
影山英雄氏は明治大学を卒業後、75年に井筒屋に入社。社長室ゼネラルマネージャー等を経て06年5月から執行役員。57歳の生え抜きだ。
一方、No.2の管理本部長に就任する坪井氏は慶応大学を卒業後、78年に山口銀行に入行。神戸支店長、大阪支店長、北九州支店長を経て昨年より井筒屋へ出向。55歳である。
新体制による井筒屋再建がスタートする。
中村社長は「銀行の支援を得るためには過去の経営の流れにけじめをつけることが必要と判断した」と述べているが、社長交代により金融機関との関係修復ができるかどうか新社長の手腕が問われることになる。
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