八女市発注の公共事業で官製談合の疑いが指摘されている。
昨年4月から今年2月にかけて、福岡県八女市(三田村統之市長)が発注する公共事業で、98%台や99%台、さらには100%といった驚きの落札率が続出していた。この時期に同市が入札を行った公共事業は136件だが、落札率100%が10件、99%台25件、98%台26件で合計61件。事前に予定価格の入手を疑われるような高落札率が、何と発注工事の半分近くを占めていた。なぜこうした事態になったのか。まずは同市の入札までの流れを確認した。
八女市では、まず市役所内部で、財団法人「建設物価調査会」が発行する「建設物価」(『物価本』と呼ばれる)や旧八女郡内の工事価格などを参考に、工事に必要な資材、物品や人件費等、当該工事に必要なものすべてを積み上げ、《積算価格》をはじく。
次に入札実施日の朝、「予定価格」を決定する。予定価格は、決定権者が積算価格に一定の割合を乗ずる手法と見られる。例えば、福岡県の公共事業では積算額の99%程度が予定価格になるとされるが、自治体によっては掛け目を90%前後に設定するところも増えている。八女市の場合、前市長時代は90%ほどの掛け目だったと言われるが、三田村市長になって掛け目が変わったともいわれる。もちろん、入札ごとに掛け目を変えることもあり得る。ただし、予定価格の決定権者は、八女市の場合、工事金額ごとに次のように区分されている。
・工事費1,000万円以上は市長
・500万円~1,000万円未満は副市長
・500万円以下は課長
しかし、掛け目は市長の判断で統一されていると見るのが普通だろう。八女市の場合、小さな工事にまで市長の指示が出るとの話もある。
実は、八女市においては、こうした入札までの流れ中で、業者に知られるはずのない数字が漏れた可能性が指摘されている。
(つづく)
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら