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環境立国・日本への提言(1)~CO2、25%削減のヒント(下)
特別取材
2010年3月31日 08:00
工学博士 藤井利治

 今回の地球温暖化対策基本法案が、固定価格制の創設を謳ったのはEUに一歩近づいたことになるが、家庭用太陽光発電しか認めてないのは残念である。家庭の場合、1所帯あたりの年間総消費電力量は平均5,500kwh程なので、3kw(年間3,000kwh発電)のシステムを設置すれば、全消費量の約55%を賄える計算になる。でも、我が国の家庭部門のCO2発生量を半減するには、全所帯の設置と燃料電池等が必要である。
 余剰電力の買上げは、家庭用太陽光発電だけでなく、風力・バイオ発電等の自然エネルギー発電を含め、公共団体や企業が発電を行った場合でも、認めるべきである。
 太陽光発電のCO2排出量は、石炭火力のCO2排出量に較べ、18分の1と極めて少ない。 kwh当りの発電コストは、現在、原子力5.9円、石炭火力7.3円、風力12円前後、太陽光46円と、太陽光発電は高コストであるが、2020年には業務用電力並の14円、2030年に事業用電力並みの7円になると、世界の太陽光発電関係者は技術開発に努めている。
 我が国の太陽光発電量は世界のトップランナーであったが、2008年には世界6位に後退している。しかしながら、我が国の企業の技術能力は極めて高く、政府の援助で低コスト化を先んずれば、国内の生産量は急増し、世界を再リードすることになる。
 風力発電は、1,000個以上の部品からなる総合機械産業であるため、世界一の技術を持つ我が国の車のノウハウを駆使すれば世界に打って出ることが出来る。国内の風力発電の拡充方策として、政府は遊休地の活用を図り、技術開発に援助すべきである。
 太陽光発電や風力発電の自然エネルギーは、光や風という不安定要素をもつため、導入量が大きくなると、電力系統に不祥事を起こすことになる。このため、蓄電池や燃料電池の設置、スマートグリッド(次世代電力網)、スマートメーター、送電網インフラの再構築等々の対応が必要となる。米国はこれらの技術開発に多大な援助を行っている。我が国も遅れてはならない。
 CO2排出量の25%削減を達成するため、技術開発の研究費を増やし、需要拡大の相乗効果によるコスト低減を図るため企業への超低利融資や特別減税対策等を行えば、我が国は最先端の環境立国となる。
 

(了)

【藤井 利治(ふじい としはる)氏 略歴】藤井 利治
昭和19年9月生まれ。九州大学工学部卒業。
福岡市入所後、福岡地区水道企業団理事、下水道局長、土木局長、水道事業管理者、福岡アジア都市研究所副理事長等を務める。01年に渇水と節水をテーマにした論文で、福岡市職員では初となる工学博士号を取得。著書に『水を嵩(かさ)む』(文芸社刊)がある。



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