農業従事者は、崇明島の農家のほか、江蘇省から農学部専攻の大学生などを受け入れており、労働に対し賃金が支払われる。また、農場を開くにあたり、立ち退きをした農家には新たな住居(集団住宅、写真4)が与えられている。さらに、農場への就労を希望しない島民には、崇明島で建設が進むホテル、レストランといったサービス業、長興島における造船業といった雇用への斡旋が行われている。
一方で、農場に勤める学生には、選抜されたものに対し、上海市の戸籍が付与されるといった特典がある。
写真5は農場の脇などの空き地で栽培される菜の花の様子。島内の至るところで、鮮やかな黄色い花が群生する美しい景観を形成するとともに、菜種油を精製する目的もある。
崇明島の農産物は、すべて有機農法により栽培されている。大量消費地である上海においても「食の安全」への関心は高まっており、崇明島の農産物は地域ブランドとして高値がつくほか、地元レストランの郷土料理(写真6)を目当てに島を訪れる観光客も多い。
【山下 康太】
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