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「なさけ有馬の水天宮」はどこへ 神社界に起こりつつある異変(上)
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2010年3月31日 17:16

<地元からの愛着>

 「『商店会とも崇敬会ともつき合いたくない』と言われれば、どうしようもありません。水天宮は何を考えているのやら。神社に欠かせない節分も今年から取り止め。少なくとも私たち地元の人間とは縁切りしたいという態度がありありです」と嘆息するのは、東京・日本橋にほど近い人形町商店会長老の一人。何でも宮司が交代した昨年来、これまで近隣住民と親密な関係にあった神社の様子が一変。簡単にいえば、地元によそよそしくなったという。
 福岡県久留米市に総本社がある水天宮は、主だった神社だけでも北海道から九州まで25社(境内末社は含まず)もある神社界の全国区。とりわけ水天宮・東京は、総本宮同様に水を司るとともに子授け、安産の神様としての知名度が近年ますます上昇。祭事はもとより、日常的にも東京を中心とする関東一円からの参拝客が絶えない。
 そのきっかけになったのが、地下鉄半蔵門線の全線開通だ。私鉄との相互乗り入れにより、西は神奈川県から北は栃木県まで一本の電車で繋がり、交通至便になった。しかし、知名度アップにさらに貢献したのは、住民の働きかけによって駅名が「水天宮前」に変更されたことだ。
 「昭和20年の大空襲で、東京下町はこの辺りも含めて焼け野原。そのとき、水天宮と参道みたいな商店街だけ消失を免れたんです。これも水の神様のおかげ、と私たちは感謝してきたからこそ駅名変更の運動をしました」(前出・商店会長老)。
 当初決まっていたのは、「箱崎エアターミナル」。半蔵門線の全線開通は東京の地下鉄でも新しいが、計画自体は60年代。日本が世界に飛び出す玄関口としての成田空港開設に合わせ、都心から成田まで直行バスで行ける拠点だったからだ。しかし、住所は日本橋、人形町とともに江戸時代の名残りを残す蛎殻町なので「蛎殻町」に決定したが、それを住民たちがさらに覆したもの。それだけ水天宮への愛着があったということである。

(つづく)

恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。


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