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清明がほえる

セメントの街 佐伯が激震!(3)
清明がほえる
2010年3月 1日 08:27

 太平洋セメント佐伯プラントは、シーンと静まりかえっていた。なぜなら既に3月10日から稼働がストップしているのだ。協力会社の一人は「3月末まで稼働停止の予定」としたうえで、「だから“あぁ、来るときが来たな。佐伯からセメントがなくなる”と。ある程度覚悟はしていたよ」と続けた。

太平洋セメント太平洋セメント

 伏線はあった。佐伯プラントで30年以上務めてきた協力会社の代表は、「最初に佐伯にセメント生産中止の話が囁かれたのは、1998年(平成10年)10月に日本セメントと秩父小野田が合併して太平洋セメントがスタートした時。2度目は、佐伯工場が津久見工場と統合されて大分工場(拠点は津久見)となった05年(平成17年)10月。呼称も佐伯“工場”から“プラント”になった。大分県内に2つもの生産拠点は必要なかろうと言われていたことは確か。だから、いつ太平洋本社から生産ストップを宣告されてもおかしくなない状況であった」と述べた。

 1601年の関ヶ原の戦いから1年後。毛利高政公が城を築いて以降、城下町として著名となった佐伯市。1926年(大正15年)12月に旧日本セメントが工場を設立・稼働して以来83年間、地元経済に対してはもとより、産業振興や観光文化に多大な貢献をしてきたことは、取材に応えた地元住民の話からも理解できる。セメント生産の下請として支え続けてきた地元企業の面々からは、熱き想いと誇りを感じさせられるが、一様に政権批判が口をついて出る。中のひとりが「(鳩山政権が)“コンクリートから人へ”と軽々しく言ったことが悔しい。好感度を上げるためのパフォーマンスというかスタンドプレイではないか。あの一言でただでさえ減少傾向にあったセメントや生コンの需要がさらに急降下した。政権維持のために我々はその犠牲にならねばならないのかと想うと、情けなくなった」と落胆した表情で語った。

(つづく)

【河原 清明】


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