鳩山首相5月退陣の可能性がささやかれはじめた。
首相本人と小沢幹事長による政治とカネの問題で支持率低下が続くなか、民主党内では、この2人が党の顔である間は、選挙には勝てないとの見方が広がる。小沢幹事長辞任を公言する議員は少なくないが、永田町では「首相退陣は5月」とする具体的な話まで出ている。
退陣の原因はズバリ「普天間」。首相は6日午後、5月末までに米軍普天間基地の移設問題を解決できなかった場合、「ひとつひとつの政策の実現に向けて、覚悟を持って臨む。当たり前の話だ」と述べ、退陣も辞さないことを示唆。普天間問題に自身の進退を賭けた形となった。
民主党は、昨年夏の総選挙で普天間基地の移設について「県外、国外」を公約しているが、「県外」も「国外」も見通しは立っていない。沖縄県はもちろん、国内には積極的に基地移転を受け入れるという自治体はなく、国外移転についても厳しい状況だ。
8日、政府・与党による「沖縄基地問題検討委員会」が開かれた。社民党はグアムなど国外への移転を提示したが『当面国内』も併記。国民新党は米軍嘉手納基地への統合かキャンプ・シュワブ(名護市)陸上案だ。政府は、キャンプ・シュワブ陸上案に傾いていると見られるが、沖縄はもちろん、社民党が無責任に選んだ長崎県大村市をはじめ、名前が挙がった自治体は激しく反発している。キャンプ・シュワブを抱える名護市では、今年1月の市長選で同市辺野古への移設反対を公約にした稲嶺進氏が当選。稲嶺市長は、海上、陸上を問わず同市への移設を認めることはない、としている。国内移転は極めて困難な状況だ。
一方、国外への移転についても事は簡単ではない。首相は、昨年12月に「米国の意向を無視した与党合意はない。日米同盟・安全保障にとって、最も望ましい解決策を何としても見いだす」と発言しており、米国の意向を尊重することを約束してしまっている。「思いやり予算は当然」との立場の米国が、グアムなどへの移設を容認する可能性はゼロに近い。米国としては日本国内での移転しか認めないだろう。
四面楚歌とも言える状況にあって、移転先は日本国内、それも「沖縄県内」というのが首相の本心だろう。しかし、これでは公約違反にほかならず、進退窮まった首相は退陣に追い込まれるという。民主党としては、首相を変えることで、普天間問題を先送りできる上、支持率も挽回できるという一石二鳥。退陣への期待は高まるばかりなのだという。
なんとも軽い政権であり、無責任な与党の姿だ。
【秋月】
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