民主党の小林千代美衆院議員側が、北海道教職員組合(北教組)側から、1,600万円にのぼる違法な選挙資金を受け取っていたとされる問題は、民主党の労組依存体質を如実に示すものだ。問題点について考えてみたい。
同党の支援組織である日本労働組合総連合会(連合)の傘下には、54の産業別組織(単産)、47の地方連合会が存在する。組合員数は約680万人とされ、民主党を支える最大の組織である。中でも「UIゼンセン同盟」「自治労」などは、それぞれ組合員数100万人、90万人を誇る有力組織。小林議員が北教組の『組織内候補』であったように、各県の労組が『組織内候補』を抱える。
最大の問題は、労組依存が過ぎた場合、政治家が有権者の代表ではなく「労組の代理人」となってしまう危険性があることだ。
自民党は財界などから広く金を集めてきたため、事業に関する請託を受け、刑事事件化するケースが多かった。特定企業の利益のために官僚を動かし、見返りを受け取れば贈収賄になる。有権者の自民党への失望は、こうした事例が多すぎたことにも起因している。
一方、この自民党の体質を批判して政権を取った民主党はどうだろう。特定労組の『組織内候補』として当選した衆院議員の政治資金収支報告書を調べていくと、とんでもない実態が見えてくる。まさに「労組丸抱え」なのだ。カネと人を労組に依存して当選した民主党議員は、誰のほうを向いて議員活動を行うか。答えはひとつしかない。
しかし、国会議員は国民の「代表」であって、特定組織の「代理人」であってはならない。代理人には政治家としての正しい判断は下せないからだ。
実は、小林議員のほかにも、同様のケースが存在する。今月後半から、労組と民主党議員についてのカネの流れを詳報していく。
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