30日、吉田宏福岡市長は、定例記者会見で"苦しい言い訳"を行なった。吉田市長は、自身が提出した「制限を小学3年生までとする入院費無料化案(以下、3年生案)」が議会で否決され、26日、「制限を小学6年生までとする入院費無料化案(以下、6年生案)」が可決されたことに対し、再議権の行使を示唆していた。しかし29日、議会決議を受け入れる旨を発表。会見では、その理由についての説明が行なわれた。
「3年も6年も方向性は同じ」
吉田市長は、3年生までを制限とした理由について、「財源上、3年生まで入院費無料化を行ない、様子をみて段階的に拡大していくことを考えていた」と説明。その上で、「最初から6年生までとする案も方向性は同じ。議会は市政の両輪のひとつ、議決を重んじ再議権の行使はしない」と述べた。
その一方で、制度施行に伴う財源については、「本年度は何とかやれるだろうが、23年度以降の財源は無い。事業見直し・行財政改革を通じて確保する必要がある」。また実施時期については「3年生案では9月からと考えていたが、対象がおおよそ倍になる6年生案では、事務手続き等で時間がかかるため、9月からの実施は困難」と、制度の施行について消極的ともとれる現実的な意見を述べた。
なお、3年生案の予算が年間ベースで1億4,000万円なのに対し、6年生案では2億8,500万円との試算が出ている。会見で、こうした予算の話が出た後、「3年生案のほうが現実的」と述べる吉田市長を見る限り、3年生案については未練たらたらのようである。
施行の目的、財源等、市民への十分な説明がなされぬまま、今回の議論は行なわれた。子どもを含めた市民が、相変わらず置き去りにされている。吉田市長は会見で、明確な答弁を避けたが、「施行が11月の市長選をまたぐのではないか」との質問があった。同制度の是非が、次回の福岡市長選挙において争点のひとつとなる可能性は高い。
※記事へのご意見はこちら